Evolton

東京大学 1990年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第2問

3次関数 h(x)=px3+qx2+rx+s は,次の条件(i),(ii)をみたすものとする。

(i) h(1)=1h(1)=1

(ii) 区間 1<x<1 で極大値 1,極小値 1 をとる。

このとき,

(1) h(x) を求めよ。

(2) 3次関数 f(x)=ax3+bx2+cx+d が区間 1<x<11<f(x)<1 をみたすとき,x>1 なる任意の実数 x に対して不等式 f(x)<h(x) が成立することを証明せよ。

難易度7/ 10計算量6/ 10目安25

関数微分方程式・不等式 増減表不等式評価、計算整理

方針

(1) は3次関数が端点と内部の極値で 1,1,1,1 を交互に取ることから、4点を通る3次式として決める。(2)は節点 1,12,12,1 での3次補間表示を用いる。x>1 では各基本式の符号が交互になり、hfh+f の節点値の符号とそろうため、h(x)<f(x)<h(x) が従う。x<1 は左右を反転して同様に処理する。

解答

(1)
極大値を1とる点を u、極小値を 1 とる点を v とする。3次関数で、端点条件が h(1)=1,h(1)=1 であることから、極大点は極小点より左にあり、1<u<v<1 である。 h(x)1x=1 を根にもち、さらに極大点 u では h(u)=1h(u)=0 だから x=u を重解にもつ。したがって、ある定数 A を用いて h(x)1=A(xu)2(x1) と書ける。同様に、h(x)+1x=1 を根にもち、極小点 v で重解をもつので h(x)+1=A(xv)2(x+1) である。両式の最高次係数は同じなので、定数は同じ A でよい。

2式を引くと 2=A{(xu)2(x1)(xv)2(x+1)} である。右辺の braces の中を展開すると、x2 の係数は 2u+2v2x の係数は u2+2uv2+2v である。左辺は定数なので 2u+2v2=0, u2+2uv2+2v=0 が必要である。第1式から v=u+1 であり、これを第2式へ代入すると u=12,v=12 を得る。

このとき (xu)2(x1)(xv)2(x+1)=12 なので、2=A(12) より A=4 である。したがって h(x)1=4(x+12)2(x1) となり、展開して h(x)=4x33x である。(2)
まず x>1 とする。4つの節点 1,12,12,1 を用いる。3次関数はこの4点での値によって一意に決まるので、任意の3次式はこれらの点での値を使って表せる。x>1 における4つの基本式の符号は、左から順に ,+,,+ である。

一方、h の節点での値は 1,1,1,1 である。また、条件 1<f(x)<11<x<1 で成り立つので、連続性から端点でも 1f(1)1,1f(1)1 である。したがって、各節点における hf の符号は、上の基本式の符号と同じ向きになる。特に内部の2点 12,12 では不等号は厳密であるから、補間表示により h(x)f(x)>0 である。

同じように h+f を見ると、各節点における h+f の符号も基本式の符号と同じ向きになる。内部の2点で厳密なので h(x)+f(x)>0 である。よって x>1 では h(x)<f(x)<h(x) が成り立つ。ここで h(x)>0 であるから f(x)<h(x) である。 x<1 の場合は、F(X)=f(X) とおけば、F も区間 1,11,1 の間に入る3次関数である。上で示した X>1 の結果を F に適用し、X=x と戻せば f(x)<h(x) が従う。したがって x>1 の任意の実数 x で不等式が成り立つ。

総評

難度は10段階中7、計算量は10段階中6。(1)の形は有名な3倍角型だが、極値の位置と値を確認して条件を満たすことを示す必要がある。(2)は節点での符号と3次補間を使う証明で、言葉だけでは弱い。試験場では25分程度を見込み、hfh+f の両方を調べて絶対値不等式へつなげたい。

冊子PDFで見る東大の関数の問題で問題集を作る

出典: 東京大学 1990年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。