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東京大学 1993年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

xy平面内に次の二つの集合lmを考える。l={(5,y)5<y<5},m={(5,y)5<y<5}lm上にない2点ABに対し,
ABlmと交わらない線分または折れ線で結ぶときの経路の長さの最小値をd(A,B)で表す。

2点P(9,3)Q(9,3)に対し
d(P,R)=d(Q,R)となる点Rの軌跡をxy平面上に図示せよ。

難易度8/ 10計算量7/ 10目安30

図形と方程式 軌跡図形的解釈、場合分け、範囲評価

方針

障害物は2本の開線分なので,直線で結べない最短経路は端点を回る折れ線になる。4つの端点を置き,P からの距離候補と Q からの距離候補を比較する。直線で見通せる部分では通常の等距離条件 PR=QR から直線 y=3x が出る。上端を回る部分と下端を回る部分では,2焦点からの距離差が一定になるので双曲線の弧になる。中央では左右の端点までの距離が等しい条件から y=x となり,双曲線との交点で弧の範囲を切り替える。

解答

4つの端点を L=(5,5),L+=(5,5),M=(5,5),M+=(5,5) とおく。これらは障害物 l,m には含まれないので,経路は端点を通ってよい。また PL=QM+=25,PL+=QM=45 である。

最短経路が途中で曲がるとき,曲がる点は端点でよい。端点以外で曲がっている部分があれば,その前後を直線で結び直すことで短くできるからである。したがって,直線で見通せる場合と,端点を1つまたは2つ通る場合を比較すればよい。

まず,PRQR がともに直線で見通せる部分では d(P,R)=PR,d(Q,R)=QR である。したがって等距離条件は PR=QR であり,P(9,3)Q(9,3) の垂直二等分線 y=3x を得る。この直線上で両方の直線経路が障害物を横切らないのは x3,x3 の部分である。

次に上側の端点を回る部分を考える。この部分では d(P,R)=PL++L+R=45+L+R, d(Q,R)=QM++M+R=25+M+R である。等距離条件は M+RL+R=25 となる。焦点が L+,M+ で,焦点間距離が10,距離差が 25 の双曲線であるから,式は x25(y5)220=1 である。ここで左側の枝だけが現れる。

この双曲線を y=5±2x25 と書く。上側の弧は,直線部分 y=3x との接続点 (3,9) から頂点 (5,5) までなので 3x5,y=5+2x25 である。下側の弧は,後で出る中央の直線 y=x との交点まで残る。交点を求めるため,y=x を下側の式へ代入すると x=52x25 である。x<0 として解くと x=41053 を得る。そこで a=41053 とおくと,下側の弧は ax5,y=52x25 である。

中央部分では,P からは下左端 L を,Q からは上右端 M+ を回る経路が最短になる。このとき d(P,R)=25+LR,d(Q,R)=25+M+R であるから,等距離条件は LR=M+R である。したがって y=x を得る。この直線部分は,上側の双曲線弧との交点から,下側の対称な双曲線弧との交点までであるから axa である。

下側は原点に関する対称性により,上側と同様に x25(y+5)220=1 の右側の枝が現れる。具体的には 5xa,y=5+2x25 および 5x3,y=52x25 である。

以上より求める軌跡は,次の部分の和である。 y=3x(x3,x3), x25(y5)220=1の上で示した2つの弧, y=x(axa),a=41053, x25(y+5)220=1の上で示した2つの弧. 図では,左上から y=3x の半直線,焦点 L+,M+ の双曲線弧,中央の線分 y=x,焦点 L,M の双曲線弧,右下の y=3x の半直線を順につなぐ。

別解

解法2

方針

平面を「直線で見通せる領域」「上端を回る領域」「下端を回る領域」
に分け、それぞれで d(P,R)d(Q,R) を1本の式にする。等高線0を
求めると直線または双曲線になり、候補同士の距離が等しくなる
接続点で有効な弧だけを切り出せる。

解答

端点をL±=(5,±5),M±=(5,±5)と置き、a=41053とする。線分障害物を避ける最短折れ線は、曲がるなら必ず
L±,M± のいずれかで曲がる。したがって各領域で有効な
端点経路を比較すればよい。

両点から R が直線で見通せる外側ではd(P,R)=PR,d(Q,R)=QR.等距離線は PQ の垂直二等分線 y=3x であり、有効部分は
x3x3 である。

上側を回る領域ではd(P,R)=45+L+R,d(Q,R)=25+M+R.よってM+RL+R=25,x25(y5)220=1.この左枝のうち有効なのは{y=5+2x25,3x5,y=52x25,ax5.第1の端点 (3,9)y=3x との交点である。第2の端点
(a,a)y=x との交点であり、代入して得る
3a2+10a45=0 の正根が上の a である。

中央では最短経路が P 側で LQ 側で M+ を通る。
PL=QM+=25 だからd(P,R)=d(Q,R)LR=M+Ry=x.有効部分は axa である。

下側は原点対称であり、有効な2弧は{y=5+2x25,5xa,y=52x25,5x3.以上の2半直線、4双曲線弧、1線分の和が求める軌跡である。

総評

難度8、計算量7、目安30〜35分。線分障害物を避ける最短路は、曲がるなら開線分の端点で曲がる。2解法で有効な端点経路を領域別に比較し、2半直線・4双曲線弧・中央線分を接続点付きで照合した。双曲線全体を描かず、実際に最短となる弧だけを残すことが最大の注意点である。

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出典: 東京大学 1993年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第3問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。