方針
障害物は2本の開線分なので,直線で結べない最短経路は端点を回る折れ線になる。4つの端点を置き, からの距離候補と からの距離候補を比較する。直線で見通せる部分では通常の等距離条件 から直線 が出る。上端を回る部分と下端を回る部分では,2焦点からの距離差が一定になるので双曲線の弧になる。中央では左右の端点までの距離が等しい条件から となり,双曲線との交点で弧の範囲を切り替える。
解答
4つの端点を とおく。これらは障害物 には含まれないので,経路は端点を通ってよい。また である。
最短経路が途中で曲がるとき,曲がる点は端点でよい。端点以外で曲がっている部分があれば,その前後を直線で結び直すことで短くできるからである。したがって,直線で見通せる場合と,端点を1つまたは2つ通る場合を比較すればよい。
まず, と , と がともに直線で見通せる部分では である。したがって等距離条件は であり, と の垂直二等分線 を得る。この直線上で両方の直線経路が障害物を横切らないのは の部分である。
次に上側の端点を回る部分を考える。この部分では である。等距離条件は となる。焦点が で,焦点間距離が10,距離差が の双曲線であるから,式は である。ここで左側の枝だけが現れる。
この双曲線を と書く。上側の弧は,直線部分 との接続点 から頂点 までなので である。下側の弧は,後で出る中央の直線 との交点まで残る。交点を求めるため, を下側の式へ代入すると である。 として解くと を得る。そこで とおくと,下側の弧は である。
中央部分では, からは下左端 を, からは上右端 を回る経路が最短になる。このとき であるから,等距離条件は である。したがって を得る。この直線部分は,上側の双曲線弧との交点から,下側の対称な双曲線弧との交点までであるから である。
下側は原点に関する対称性により,上側と同様に の右側の枝が現れる。具体的には および である。
以上より求める軌跡は,次の部分の和である。 図では,左上から の半直線,焦点 の双曲線弧,中央の線分 ,焦点 の双曲線弧,右下の の半直線を順につなぐ。
別解
解法2
方針
平面を「直線で見通せる領域」「上端を回る領域」「下端を回る領域」
に分け、それぞれで を1本の式にする。等高線0を
求めると直線または双曲線になり、候補同士の距離が等しくなる
接続点で有効な弧だけを切り出せる。
解答
端点をと置き、とする。線分障害物を避ける最短折れ線は、曲がるなら必ず
のいずれかで曲がる。したがって各領域で有効な
端点経路を比較すればよい。
両点から が直線で見通せる外側では等距離線は の垂直二等分線 であり、有効部分は
と である。
上側を回る領域ではよってこの左枝のうち有効なのは第1の端点 は との交点である。第2の端点
は との交点であり、代入して得る
の正根が上の である。
中央では最短経路が 側で 、 側で を通る。
だから有効部分は である。
下側は原点対称であり、有効な2弧は以上の2半直線、4双曲線弧、1線分の和が求める軌跡である。
総評
難度8、計算量7、目安30〜35分。線分障害物を避ける最短路は、曲がるなら開線分の端点で曲がる。2解法で有効な端点経路を領域別に比較し、2半直線・4双曲線弧・中央線分を接続点付きで照合した。双曲線全体を描かず、実際に最短となる弧だけを残すことが最大の注意点である。