方針
まず行列の積を成分で計算し,零行列になる条件を対角成分と非対角成分に分ける。非対角成分は積の形になり,ここから と の二つの場合だけを調べればよいことが分かる。それぞれで残った実数方程式を解き,最後に ,, の境目で解の重複がないように整理する。なお,同じ形の行列を複素数 に対応させると,別の考え方として二次方程式 に直すこともできる。
解答
行列の積はである。したがってとなる。これが零行列であることは と同値である。
まず の場合を考える。このとき であり, となる。よって実数解をもつのは のときで,そのとき である。
次に の場合を考える。このとき すなわち である。よって実数解をもつのは のときで,そのとき である。
ただし では,前者からも後者からも同じ解 が得られる。したがって求める実数 はである。
別解
解法2
方針
行列を複素数に対応させる。この対応では行列の和と積が複素数の和と積に一致するので,行列方程式を複素2次方程式に直す。の符号によって平方根が実数か純虚数かを分け,実部と虚部を読み取る。
解答
行列を複素数に対応させる。この形の行列同士の積は,対応する複素数の積と同じ成分をもつ。または複素数1,は複素数0に対応する。したがって与えられた行列方程式はと同値である。平方完成するととなる。
のときはだからよってのときはだけであり,のときはだからしたがって以上をまとめれば解法1と同じ場合分けを得る。
総評
成分比較だけでも解けるが,非対角成分から場合分けを作るところが答案の骨格になる。難易度は4,計算量は3程度で,想定時間は8分前後。得点差がつくのは, と の両方を調べること, で二つの場合の解が重なることを明記すること,最終答を の範囲で重複なく書くことである。複素数への対応を思いつくと短く確認できるが,成分計算の答案でも十分に満点を狙える。 2解法の結論を相互照合し,定義域,端点,場合分け,図示範囲を確認した。