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東京大学 2000年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第6問

(1) abcを正の実数とするとき,(1a0010001)(10001b001)(1c0010001)=(10001x001)(1y0010001)(10001z001)を満たす実数xyzabcで表せ。

(2) abc1a21b21c2の範囲を動くとき,
(1)のxyzを座標とする点(x,y,z)が描く立体をKとする。
立体Kを平面y=tで切った切り口の面積を求めよ。

(3) この立体Kの体積を求めよ。

難易度8/ 10計算量8/ 10目安35

行列図形と方程式積分 文字消去、パラメータ処理、面積計算体積計算、計算整理

方針

(1) は3つの上三角行列を直接掛け、対応する成分を比較する。y=a+cz=ab/(a+c)x=bc/(a+c) が得られる。(2)では y=t を固定すると a+c=t であり、a の範囲は 2t33t4 で変わる。さらに x+z=bz/(x+z)=a/t と見ると、切り口は (x,z) 平面で2本の半直線と x+z=1,2 に囲まれる部分になる。面積は相似な三角形の差で求め、(3)で t について積分する。

解答

(1)
左辺を順に掛けると(1a0010001)(10001b001)=(1aab01b001)であり、さらに(1aab01b001)(1c0010001)=(1a+cab01b001)となる。

右辺は(10001x001)(1y0010001)=(1y001x001)であり、さらに(1y001x001)(10001z001)=(1yyz01x+z001)である。

成分を比較して y=a+c,yz=ab,x+z=b を得る。a+c>0 なので z=aba+c,x=bz=bca+c である。したがって x=bca+c,y=a+c,z=aba+c である。

(2) y=t と固定する。y=a+c なので t=a+c である。1a21c2 より、切り口が空でないのは 2t4 のときである。

また(1)より x+z=b,zx+z=aa+c=at である。ここで 1b2 だから 1x+z2 である。 2t3 のとき、c=ta1c2 を満たすためには 1at1 である。よって 1tzx+zt1t である。 3t4 のときは t2a2 であるから t2tzx+z2t である。

一般に r1zx+zr2,1x+z2 で表される部分を考える。2本の境界 z/(x+z)=r1,r2 は原点を通る半直線である。直線 x+z=1 上での交点は (1r1,r1),(1r2,r2) である。原点とこの2点でできる三角形の面積は 12(1r1)r2(1r2)r1=12(r2r1) である。直線 x+z=2 まで拡大した三角形は相似比2なので面積は4倍である。したがって、1x+z2 に挟まれた部分の面積は 412(r2r1)12(r2r1)=32(r2r1) である。

よって切り口の面積を A(t) とするとA(t)={32(t1t1t)(2t3),32(2tt2t)(3t4)である。整理してA(t)={3(t2)2t(2t3),3(4t)2t(3t4)である。

(3)
体積は切り口面積を t で積分して 233(t2)2tdt+343(4t)2tdt である。これを計算すると3223(12t)dt+3234(4t1)dtであるから 32[t2logt]23+32[4logtt]34 となる。整理して 32{(1+2log22log3)+(1+8log24log3)} であり、これは 3(5log23log3)=3log3227 である。よって立体 K の体積は 3log3227 である。

別解

解法2(変数変換の面積倍率)

方針

t=a+cr=a/(a+c) と置くと (x,z)=(b(1r),br) になる。(b,r) から (x,z) への面積倍率が b であることを使い、切り口面積と体積を積分で一続きに求める。

解答

(1)
両辺の行列を掛けて成分を比較するとy=a+c,yz=ab,x+z=b.よってx=bca+c,y=a+c,z=aba+c.(2)t=a+c,r=aa+cとおくとy=t,x=b(1r),z=br.固定した t に対し、(b,r) から (x,z) への面積倍率は1rbrb=bである。また 1b2 である。

2t3 では 1at1 なので1trt1t.したがって切り口面積はA(t)=121/t(t1)/tbdrdb=3(t2)2t.同様に 3t4 では t2a2 よりA(t)=12(t2)/t2/tbdrdb=3(4t)2t.範囲外では切り口は空である。

(3)
以上からVol(K)=3223t2tdt+32344ttdt=3log3227.

総評

難度8、計算量8。行列積から得たy=a+c、x+z=b、z/(x+z)=a/(a+c)が立体の幾何を表す。切り口を相似三角形の差として求める方法と、変数変換の面積倍率bを積分する方法を併記した。t=3で2つの面積式が一致し、t=2,4で0になることも整合性の確認になる。 2つの解法は着眼点を分け、必要性・十分性、端点、等号条件を省略せず記述した。

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出典: 東京大学 2000年度 前期 理科 第6問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。