方針
Aを(1+a)I+Bに分けると,Buの長さがθによらず1+a2になる。この一定長を利用し,三角不等式と逆向きの三角不等式で∣Au∣を上下から挟む。
上側はa≦1からすぐ2+2へ落とす。下側は1+a−1+a2を(2−2)aと比較し,両辺が正であることを確認してから平方して示す。別解として,∣Au∣2を直接展開し,三角関数の最大最小で同じ評価を得ることもできる。
解答
I=(1001),B=(−a11a)とおくと A=(1+a)I+B である。u=(cosθ,sinθ)と書くとBu=(−acosθ+sinθcosθ+asinθ)であるから∣Bu∣2=(−acosθ+sinθ)2+(cosθ+asinθ)2=1+a2である。また∣u∣=1である。
まず三角不等式より∣Au∣=∣(1+a)u+Bu∣≦(1+a)∣u∣+∣Bu∣=1+a+1+a2である。0<a≦1より1+a≦2,1+a2≦2なので ∣Au∣≦2+2 を得る。
次に逆向きの三角不等式より ∣Au∣≧(1+a)∣u∣−∣Bu∣=1+a−1+a2 である。あとは 1+a−1+a2≧(2−2)a を示せばよい。これは 1+(2−1)a≧1+a2 と同値であり,両辺は正である。平方して比べると {1+(2−1)a}2−(1+a2)=2(2−1)a(1−a)≧0 となるから,確かに成り立つ。
以上より (2−2)a≦∣Au∣≦2+2 である。
別解
解法2
方針
∣Au∣2 を三角関数で直接展開する。振幅の評価から正確な上下端を得て、それを問題の一様な評価へ落とす。
解答
成分を直接計算するとAu=(cosθ+sinθcosθ+(1+2a)sinθ).平方して倍角公式で整理すれば∣Au∣2=(1+a)2+(1+a2)+2(1+a)(−acos2θ+sin2θ).ここで−1+a2≦−acos2θ+sin2θ≦1+a2であるから{1+a−1+a2}2≦∣Au∣2≦{1+a+1+a2}2.各辺は非負なので平方根を取ってよい。上側は 0<a≦1 より1+a+1+a2≦2+2.下側については1+a−1+a2≧(2−2)aを示せばよい。両辺を移項した1+(2−1)a≧1+a2は両辺が正であり、平方後の差は2(2−1)a(1−a)≧0となる。よって(2−2)a≦∣Au∣≦2+2が従う。なお、振幅評価の等号を与える θ は存在するので、途中で得た
1+a±1+a2 は固定した a に対する正確な最大・最小である。
総評
難度は6、計算量は4。固定した a の正確な特異値評価と、0<a≦1 上の一様評価を区別した。 2解法の結論を照合し、定義域、端点、必要十分性、等号条件を再確認した。 図は論証を補助するものに限定し、図の縮尺に依存しない式による説明も併記している。
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出典: 東京大学 1994年度 前期日程 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。