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東京大学 1996年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第1問

xy平面において,行列(abba)で表される1次変換をfとし,点(1,0)を中心とする半径13の円をCとする。

fによるCの像が直線x=23に接し,かつ領域D={(x,y)x>0}に含まれるような(a,b)全体のなす図形をab平面上に図示せよ。

難易度5/ 10計算量4/ 10目安12

行列図形と方程式 座標設定軌跡、範囲評価、式変形

方針

行列 (abba) は,中心を (1,0) から (a,b) に移し,半径を a2+b2 倍する相似回転として働く。したがって f(C) は中心 (a,b),半径 a2+b2/3 の円である。直線 x=2/3 への接条件と,円全体が x>0 に入る条件をそれぞれ式にし,接条件から得た曲線上で a の範囲を絞る。最後に図示に必要な端点の開閉も確認する。

解答

C 上の点を (1,0)+(u,v),u2+v2=19 と表す。この点の f による像は (a,b)+(aubv,bu+av) である。ここで (aubv)2+(bu+av)2=(a2+b2)(u2+v2) だから,f(C) は中心 (a,b),半径 13a2+b2 の円である。

この円が直線 x=2/3 に接する条件は,中心から直線までの距離が半径に等しいこと,すなわち a23=13a2+b2 である。両辺を2乗すると 9(a23)2=a2+b2 であり,整理して b2=4(2a1)(a1) を得る。

次に,円全体が D={(x,y)x>0} に含まれる条件を考える。円の最も左の点の x 座標は a13a2+b2 であるから,必要十分条件は a13a2+b2>0 である。接条件のもとでは 13a2+b2=a2/3 なので,これは a>a23 と同値である。

この不等式を解く。a2/3 のときは常に成り立つが,曲線 b2=4(2a1)(a1) 上に実点があるためには (2a1)(a1)0 が必要なので,この場合は a1 である。a<2/3 のときは a>23a より a>13 であり,曲線上に実点がある条件と合わせて 13<a12 となる。

したがって求める図形は,ab 平面上の曲線 b2=4(2a1)(a1) のうち 13<a12またはa1 を満たす部分である。図示すると,左側の枝は a=1/3 の二点を含まず a=1/2 の点 (1/2,0) を含む部分,右側の枝は (1,0) を含んで a 正方向へ伸びる二つの枝である。

別解

解法2

方針

像の円の中心を(a,b),半径をρ/3とおく。接する直線が中心の左側にある場合と右側にある場合に分けると,半平面x>0に入る条件を幾何的に処理できる。各場合で接条件の曲線に実点がある範囲を重ね,端点の開閉を決める。

解答

原点から(a,b)までの距離をρ=a2+b2とおく。与えられた1次変換は長さをρ倍する相似変換なので,f(C)は中心(a,b),半径ρ/3の円である。

直線x=2/3への接条件はρ3=a23.したがってa2+b2=9(a23)2,すなわちb2=4(2a1)(a1)(1)である。

まずa<2/3とする。このとき接線は中心の右側にあり,半径は2/3aである。円の左端が正である条件はa(23a)>0,したがってa>13.一方,(1)が実点をもつ条件はa1/2またはa1だから,この場合は13<a12.次にa2/3とする。半径はa2/3であり,円の左端はa(a23)=23>0なので半平面の条件は自動的に満たす。(1)が実点をもつ条件を合わせるとa1.よって求める図形はb2=4(2a1)(a1)のうち13<a12またはa1を満たす部分である。a=1/3上の2点は含まず,(1/2,0)(1,0)は含む。

総評

円の像を中心と半径で捉えれば,条件整理は短く済む。難易度は5,計算量は4程度で,想定時間は12分前後。接条件だけから得られる曲線には余分な部分が含まれるため,x>0 に円全体が含まれる条件を必ず追加すること。特に a=1/3 は左端が x=0 に触れるので除外,a=1/2a=1 は条件を満たすので含める,という端点の開閉が図示の採点ポイントになる。 2解法の結論を相互照合し,定義域,端点,場合分け,図示範囲を確認した。

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出典: 東京大学 1996年度 前期日程 第2次学力試験 理系 前期 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。