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東京大学 1996年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第2問

abcdを正の数とする。不等式{s(1a)tb>0,sc+t(1d)>0を同時に満たす正の数stがあるとき,2次方程式x2(a+d)x+(adbc)=01<x<1の範囲に異なる2つの実数解をもつことを示せ。

難易度6/ 10計算量4/ 10目安15

方程式・不等式論証・証明 不等式評価、同値変形、存在証明、範囲評価

方針

正の数 s,t をそのまま扱うより,λ=t/s とおいて一つの正の比にまとめる。すると仮定から a<1d<1,さらに bc<(1a)(1d) が得られる。あとは与えられた二次式を q(x) とおき,q(1)>0q(a)<0q(1)>0 を示す。0<a<1 なので,符号変化から (1,a)(a,1) にそれぞれ一つずつ解があることを結論する。

解答

二次式を q(x)=x2(a+d)x+(adbc) とおく。

仮定より s>0t>0 であるから,λ=t/s とおくと λ>0 であり,二つの不等式は 1aλb>0,1dcλ>0 となる。特に 1a>λb>0,1d>cλ>0 であるから 0<a<1,0<d<1 である。また二つの不等式を掛け合わせると (1a)(1d)>λbcλ=bc を得る。

ここで q(1)=1ad+adbc=(1a)(1d)bc>0 である。さらに q(1)=1+a+d+adbc=(1+a)(1+d)bc であり,(1+a)(1+d)(1a)(1d)=2a+2d>0 だから (1+a)(1+d)>(1a)(1d)>bc となり,q(1)>0 である。

一方,0<a<1 を用いて x=a を代入すると q(a)=a2a(a+d)+adbc=bc<0 である。したがって q(x) は区間 (1,a) で正から負へ,区間 (a,1) で負から正へ符号を変える。二次式は連続であるから,方程式 q(x)=0(1,a) に少なくとも一つ,(a,1) に少なくとも一つの実数解をもつ。

これら二つの区間は交わらないので,得られた二つの解は異なる。また二次方程式の実数解は高々二つである。よって与えられた二次方程式は 1<x<1 の範囲に異なる二つの実数解をもつ。

別解

解法2

方針

仮定から0<a,d<1bc<(1a)(1d)を得るところまでは同じである。その後は二次式の判別式と軸に注目する。判別式が正であること,軸が(0,1)内にあること,さらに両端x=1,1で正で軸上では負であることを示し,2根を区間内に挟む。

解答

二次式をq(x)=x2(a+d)x+adbcとおく。正の数λ=tsを用いると,仮定は1a>λb>0,1d>cλ>0と書ける。したがって0<a<1,0<d<1,さらに2式を掛けてbc<(1a)(1d)を得る。

q(x)=0の判別式はΔ=(a+d)24(adbc)=(ad)2+4bc>0だから,異なる2つの実数解をもつ。放物線の軸はx=a+d2であり,0<a,d<1から0<a+d2<1である。また,軸における値はq(a+d2)=Δ4<0.一方,q(1)=(1a)(1d)bc>0である。さらに(1+a)(1+d)>(1a)(1d)>bcよりq(1)=(1+a)(1+d)bc>0.したがって,軸より左側でx=1から軸までに1根,軸より右側で軸からx=1までに1根がある。よって異なる2根はいずれも1<x<1に含まれる。

総評

仮定の不等式から二次式の符号を作る論証問題である。難易度は6,計算量は4程度で,想定時間は15分前後。最初に λ=t/s を導入して bc<(1a)(1d) まで落とし込めるかが核心である。答案では 0<a<1 を明示しないと,q(a)<0 を使った区間分割の意味が弱くなる。符号変化を示した後は,二つの区間が互いに交わらないため解が異なる,という一文まで書くと証明が締まる。 2解法の結論を相互照合し,定義域,端点,場合分け,図示範囲を確認した。

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出典: 東京大学 1996年度 前期日程 第2次学力試験 共通 前期 文科第2問・理科第2問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。