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東京大学 1997年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第1問

abは実数でa2+b2=16,a3+b3=44を満たしている.このとき,

(1) a+bの値を求めよ.

(2) nを2以上の整数とするとき,an+bnは4で割り切れる整数であることを示せ.

難易度5/ 10計算量4/ 10目安14

数と式数列整数 対称式の利用、漸化式の変形数学的帰納法、偶奇性

方針

対称式として扱い、まずs=a+b, p=abを導入する。a2+b2a3+b3s,pで表してsの3次方程式を作り、さらに実数a,bが存在するための判別式条件で候補を絞る。(2)ではa,bが同じ2次方程式の2根であることから、冪和un=an+bnの漸化式を作り、整数性と4での割り切りを同時に帰納法で示す。

解答

(1) s=a+b,p=ab とおく。すると a2+b2=(a+b)22ab=s22p であるから s22p=16 を得る。したがって p=s2162 である。

また a3+b3=(a+b)33ab(a+b)=s33ps である。条件a3+b3=44p=s2162を代入すると s33ss2162=44 となる。両辺を2倍して整理すると 2s33s3+48s=88 すなわち s348s+88=0 である。これは (s2)(s2+2s44)=0 と因数分解できるので、候補は s=2,s=1+35,s=135 である。

ただし、a,bが実数として存在するには、a,bを2根にもつ方程式 X2sX+p=0 の判別式が0以上でなければならない。すなわち s24p0 である。ここにp=s2162を代入すると s22(s216)0 より 32s20 である。上の3つの候補のうち、この条件を満たすのはs=2だけである。したがって a+b=2 である。

(2)
(1)より ab=(a+b)2(a2+b2)2=4162=6 である。したがってa,bX22X6=0 の2根である。よって a2=2a+6,b2=2b+6 が成り立つ。 un=an+bn とおく。上の等式にそれぞれan2, bn2を掛けて加えると、n2について un=2un1+6un2 である。特に u2=a2+b2=16,u3=a3+b3=44 はどちらも4で割り切れる整数である。

ここで、あるn4についてun1un2が4で割り切れる整数であると仮定すると、un=2un1+6un2 も整数であり、しかも右辺は4で割り切れる。したがって数学的帰納法により、すべての整数n2について an+bn は4で割り切れる整数である。

別解

解法2(共役な2数と二項定理)

方針

(1) では s=a+b, p=ab とおき、2本の対称式から s の候補を求める。実数 a,b が存在するための判別式で余分な候補を除く。(2)では a,b1±7 と決定し、二項展開で無理数項の相殺と4の倍数性を直接示す。

解答

(1) s=a+b,p=abとおく。条件からs22p=16だからp=s2162.またa3+b3=s33ps=44である。p を消去するとs348s+88=0,すなわち(s2)(s2+2s44)=0.従って候補はs=2,1+35,135である。

一方、a,bX2sX+p=0 の実数解だから、その判別式は0以上である。s24p=32s20.上の3候補でこれを満たすのは s=2 だけなのでa+b=2である。

(2)
(1)と a2+b2=16 よりab=(a+b)2(a2+b2)2=6.従って a,bX22X6=0 の2根でありa=1+7,b=17と順序を定めてよい。

二項定理よりan+bn=(1+7)n+(17)n=2j=0n/2nC2j7j.奇数次数の 7 を含む項は相殺されるので、これは整数である。

7 は奇数だから、括弧内の和の偶奇はj=0n/2nC2j=(1+1)n+(11)n2=2n1と同じである。n2 では 2n1 は偶数なので、括弧内の和は偶数である。従って an+bn は4で割り切れる整数である。

総評

難度5、計算量4。目安時間は14分。前半は対称式の整理だけでなく、3次方程式の解を実数解条件でふるい落とすところが得点の分かれ目である。後半はa,bを2次方程式の根として扱い、冪和の漸化式に持ち込むのが自然である。u1は4で割り切れないため、帰納法の初期値をu2,u3から始める点に注意する。 2解法の数式と最終結論を相互照合し、原典本文との対応、小問の完答、境界条件、図の読み取りを再確認した。

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出典: 東京大学 1997年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。