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東京大学 1993年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第1問

nを3以上の自然数とする.
xy平面上,原点を中心とし,
(1,0)をひとつの頂点にもつ正n角形をPとする.

(1) Pの像がPに完全に重なるような1次変換を表す行列をすべて求めよ.

(2) (1)で求めた行列すべての和を求めよ.

難易度6/ 10計算量6/ 10目安20

数と式図形と方程式三角関数 回転・拡大対称性の利用和の計算

方針

正多角形を保つ一次変換は原点を固定する合同変換であり、n 個の回転と n 個の鏡映からなる。各行列を角度で列挙し、三角関数の等間隔和が0であることから総和を求める。

解答

(1) k=0,1,,n1 とする。正 n 角形を自身へ移す変換は、2πk/n の回転Rk=(cos2kπnsin2kπnsin2kπncos2kπn)と、原点を通り偏角 kπ/n の直線に関する鏡映Sk=(cos2kπnsin2kπnsin2kπncos2kπn)の合計 2n 個である。実際、頂点 (1,0) の像を選んだ後、隣の頂点を時計回り・反時計回りのどちらへ移すかでこの2種類に限られる。

(2) n3 ではk=0n1cos2kπn=0,k=0n1sin2kπn=0.従って Rk 全体の和も Sk 全体の和も零行列である。求める総和は(0000).

別解

解法2

方針

正多角形を保つ変換が基底ベクトル e1,e2
をどこへ送るかで分類する。e1 の像を1頂点に固定すると、
隣接頂点の順序を保つか反転するかの2択しかない。総和は各基底の像を
幾何的に対消滅させて求める。

解答

(1)

θk=2kπ/n とする。頂点 (1,0) の像は
(cosθk,sinθk) のいずれかである。像を1つ固定すると、
隣の頂点を反時計回り側へ送る場合と時計回り側へ送る場合の2通りしかない。
それぞれRk=(cosθksinθksinθkcosθk),Sk=(cosθksinθksinθkcosθk)である。k=0,1,,n1 として、これら 2n 個がすべてである。

(2)

全行列の和を T とする。各 k についてRke1=Ske1=(cosθk,sinθk)である。正 n 角形の中心は頂点の重心なので、全頂点ベクトルの和は
零ベクトルである。したがって Te1=0 である。

またRke2=(sinθk,cosθk),Ske2=(sinθk,cosθk)は互いに反対向きだから、各 k ごとに打ち消し合う。よってTe2=0 でもある。2本の基底の像がともに0なのでT=(0000).図は n=5 の模式図である。

総評

難度6、計算量6、目安15〜18分。正多角形を保つ一次変換は n 個の回転と n 個の鏡映に限られる。解法1は行列成分の三角関数和、解法2は2本の基底ベクトルの像の幾何的相殺で総和を求めた。回転だけを列挙しないことと、他の一次変換がない理由を頂点像と隣接順序で説明することが重要である。

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出典: 東京大学 1993年度 後期日程 第2次学力試験 理系(後期) 後期 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。