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東京大学 1998年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第2問

abは実数で,b0とする.
xy平面に原点O(0,0)および2点P(1,0)Q(a,b)をとる.

(1) OPQが鋭角三角形となるためのabの条件を不等式で表し,
(a,b)の範囲をab平面上に図示せよ.

(2) mnを整数とする.abが(1)で求めた条件を満たすとき,不等式(m+na)2(m+na)+n2b20が成り立つことを示せ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安18

図形と方程式ベクトル整数方程式・不等式 内積の利用、範囲評価、場合分け、計算整理

方針

(1) は三角形の3つの角がすべて鋭角であることを、それぞれの頂点に集まる2本のベクトルの内積が正である条件として表す。O, P, Q の順に調べると、0<a<1b2>a(1a) が得られ、図示では中心 (1/2,0)、半径 1/2 の円の外側を縦帯 0<a<1 の中で取る。(2)は(1)の下限 b2>a(1a) を使って左辺を下から評価し、残った式が a の一次式で、端点 a=0,1 では整数の連続積になることを利用する。

解答

(1) O が鋭角である条件は OPOQ>0 である。ここで OP=(1,0), OQ=(a,b) だから a>0 である。

次に P が鋭角である条件は POPQ>0 である。PO=(1,0), PQ=(a1,b) より 1a>0 すなわち a<1 である。

最後に Q が鋭角である条件は QOQP>0 である。QO=(a,b), QP=(1a,b) だから a(1a)+b2>0 すなわち b2>a(1a) である。

以上より求める条件は 0<a<1,b2>a(1a) である。さらに a(1a)=14(a12)2 なので、境界は (a12)2+b2=14 である。したがって図示すべき範囲は、縦帯 0<a<1 の中で、この円の外側にある部分である。境界はすべて含まない。なおこの条件では自動的に b0 である。

(2)
まず n=0 のとき、左辺は m2m=m(m1) である。整数 m について、連続する2整数の積 m(m1) は0以上であるから、この場合は成り立つ。

以下 n0 とする。(1)より b2>a(1a) であるから、n2>0 に注意して(m+na)2(m+na)+n2b2>(m+na)2(m+na)+n2a(1a)である。右辺を整理すると(m+na)2(m+na)+n2a(1a)=m2+2mna+n2a2mna+n2an2a2=m(m1)+an(2m+n1)となる。

この式を L(a) とおくと、L(a)a の一次式である。端点での値は L(0)=m(m1) および L(1)=m(m1)+n(2m+n1)=(m+n)(m+n1) である。m, m+n は整数なので、どちらも連続する2整数の積であり0以上である。 0<a<1 では、一次式 L(a) の値は L(0)L(1) の間にある。したがって L(a)0 である。よって (m+na)2(m+na)+n2b2>L(a)0 となり、特に (m+na)2(m+na)+n2b20 が成り立つ。

別解

解法2(円の外部条件と凸結合)

方針

(1) は3辺の平方に対する鋭角条件から求める。(2) の左辺から n2a(1a) を差し引き、残りを2つの連続整数の積の凸結合として一度に表す。

解答

(1) OP2=1,OQ2=a2+b2,PQ2=(1a)2+b2である。三角形が鋭角三角形であるための条件は、各辺の平方が他の2辺の平方の和より小さいことである。

PQ2<OP2+OQ2 から a>0OQ2<OP2+PQ2 から a<1 を得る。またOP2<OQ2+PQ2を整理するとb2>a(1a)となる。従って0<a<1,b2>a(1a).境界 b2=a(1a)(a12)2+b2=14であるから、求める範囲は 0<a<1 の縦帯のうち、この円の外側である。境界は含まない。

(2) E=(m+na)2(m+na)+n2b2とおく。(1) の条件からE(m+na)2(m+na)+n2a(1a)=(1a)m(m1)+a(m+n)(m+n1)である。最後の等号は展開すれば確かめられる。

整数 r に対して r(r1)0 である。従ってm(m1)0,(m+n)(m+n1)0.しかも 0<a<1 なので、右辺はこの2つの非負数の凸結合であり非負である。よって(m+na)2(m+na)+n2b20が成り立つ。

総評

難度6、計算量5。目安時間は18分。(1)は鋭角条件を内積の正で表す典型問題で、Q における内積だけ符号を取り違えやすい。図示では円の内側ではなく外側で、しかも 0<a<1 の縦帯の中に限る点を明示する。(2)は b2>a(1a) を代入して終わりではなく、残った一次式を端点 0,1 で評価する流れが得点の中心である。n=0 を先に分けると、不等号を厳しくした部分の説明も自然になる。 2解法の数式と最終結論を相互照合し、原典本文との対応、小問の完答、境界条件、図の読み取りを再確認した。

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出典: 東京大学 1998年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。