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東京大学 1998年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第5問

θ0θ<2πを満たす実数とする.xy平面にベクトルa=(cosθ,sinθ),b=(32,12)をとり,点PnQnn=1,2,{OP1=(1,0)OQn=OPn(aOPn)aOPn+1=4{OQn(bOQn)b}で定める.
ただし,Oは原点で,
aOPnおよびbOQnはベクトルの内積を表す.
OPn=(xn,yn)とおく.
数列{xn}{yn}がともに収束するθの範囲を求めよ.
さらに,このようなθに対して,極限値limnxn,limnynを求めよ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安22

ベクトル数列三角関数 内積の利用ベクトル成分計算漸化式の変形、範囲評価

方針

OQnOPn から a 方向成分を引いたものなので、a に垂直な方向への射影である。同様に OPn+1b に垂直な方向への射影を4倍したものになる。そこで a に垂直な単位ベクトル ub に垂直な単位ベクトル v を置くと、n2 ではすべて v 方向の等比数列になる。公比 4cos2(θπ/6) が1以下なら収束し、1より大きい場合は第2項が0になる例外だけを加える。端点では公比が1なので、OP2 を直接計算して極限を出す。

解答

a=(cosθ,sinθ) に垂直な単位ベクトルを u=(sinθ,cosθ) とおく。また b=(3/2,1/2) に垂直な単位ベクトルを v=(12,32) とおく。 OQnOPn のうち a に垂直な成分であるから OQn=(OPnu)u である。さらに OPn+1OQn のうち b に垂直な成分を4倍したものなので OPn+1=4(OQnv)v である。

ここでuv=12sinθ+32cosθ=cos(θπ6)である。 n2 では、OPnv に平行である。OPn=cnv と書くとOPn+1=4{(cnvu)uv}v=4cn(uv)2vである。したがってOPn+1=4cos2(θπ6)OPn(n2)である。

公比を R=4cos2(θπ6) とおく。R1 なら、n2OPn は収束する。これは cos(θπ6)12 と同値であり、0θ<2π ではπ2θ5π6,3π2θ11π6である。

一方、R>1 でも OP2=0 なら以後すべて0で収束する。OP1=(1,0) だから OP2=4{((1,0)u)(uv)}v である。R>1 の範囲では uv0 なので、OP2=0(1,0)u=sinθ=0 と同値である。よって θ=0,π が加わる。

したがって、収束する θθ=0,π またはπ2θ5π6,3π2θ11π6である。

極限を求める。R<1 のとき、および θ=0,π のときは limnOPn=0 である。したがって limnxn=0,limnyn=0 である。

残るのは R=1 の端点である。このとき n2 では OPn=OP2 で一定である。OP2 を計算すると、θ=π2,3π2 のとき OP2=2v=(1,3) である。また θ=5π6,11π6 のとき OP2=v=(12,32) である。

以上より、端点ではそれぞれ (limnxn,limnyn)=(1,3) または(limnxn,limnyn)=(12,32)であり、それ以外の収束範囲では (0,0) である。

別解

解法2(第2項以降の一般項を明示)

方針

2つの射影を座標計算し、第2項以降が固定ベクトル v の実数倍であることを使う。その係数の一般項を明示して、等比数列が収束する条件、初項が0になる例外、公比1の端点を分ける。

解答

a に垂直な単位ベクトルと b に垂直な単位ベクトルをu=(sinθ,cosθ),v=(12,32)とする。射影の定義からOPn+1=4(OPnu)(uv)v.ここでuv=cos(θπ6).n2 では OPnv に平行である。さらにOP2=4sinθcos(θπ6)v.従って n2OPn=4sinθcos(θπ6){4cos2(θπ6)}n2v.公比R=4cos2(θπ6)は非負である。0R<1 なら極限は 0R=1 なら第2項以降一定、R>1 なら係数が0の場合に限って収束する。

R1π2θ5π6,3π2θ11π6である。R>1 で係数が0になるのは sinθ=0θ=0, πである。

R<1θ=0,π ではlimxn=limyn=0.R=1 の4端点では一般項へ直接代入してθ(limxn,limyn)π/2, 3π/2(1,3)5π/6, 11π/6(1/2,3/2)となる。

総評

難度7、計算量6。目安時間は22分。2回の「垂直成分を取り出す」操作を、方向 v 上の等比数列に落とすのが中心である。n2 で常に b に垂直な同一直線上に乗ることを明示すると、公比 4cos2(θπ/6) が自然に出る。R<1R=1 では極限が異なり、さらに R>1 でも θ=0,π だけは第2項から0になる。この例外と端点の極限値を落とさないことが採点上の注意点である。 2解法の数式と最終結論を相互照合し、原典本文との対応、小問の完答、境界条件、図の読み取りを再確認した。

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出典: 東京大学 1998年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。