方針
(1) は逆行列を求めて積を直接計算する。トレースと行列式に当たる2量が保たれる。(2)は r−a を明示して差を平方の形にする。(3)では保存量 an+cn=3, ancn−bn2=1 と、(1)の成分表示から得る bn=bn−1/(an−12+bn−12) を使う。
解答
(1) d=a2+b2,D=ac−b2とおく。d>0 であり、直接計算するとB=d1(a3+2ab2+b2cbDbDaD).したがって B は (rsst) の形である。また成分を整理するとr+t=a+c,rt−s2=ac−b2.(2) (1)の成分表示からr−a=a2+b2b2(a+c)である。一方、r+t=a+c, rt−s2=ac−b2 を用いるとr2+s2−(a2+b2)=(a+c)(r−a)=a2+b2b2(a+c)2≧0.よって主張が成り立つ。
(3)
(ア) (1)より全ての n でan+cn=a0+c0=3,ancn−bn2=a0c0−b02=1である。また(2)からan2+bn2≧an−12+bn−12≧a02+b02=2.(1)の非対角成分の式と an−1cn−1−bn−12=1 からbn=an−12+bn−12bn−1である。b0=1>0 なので bn>0 であり、さらに0<bn≦21bn−1となる。よって 0<bn≦2−n だからn→∞limbn=0.(イ) (1)の対角成分からan−an−1=an−12+bn−12bn−12(an−1+cn−1)=an−12+bn−123bn−12≧0.したがって an は増加する。また ancn=1+bn2>0 かつ an+cn=3 なので 0<an<3 であり、an は収束する。その極限を α とすると、cn=3−an と(ア)を保存式へ代入して極限を取ることによりα(3−α)=1を得る。an≧a0=1 だからα=23+5.したがってn→∞liman=23+5,n→∞limcn=23−5.
総評
難度8、計算量8。想定時間は35分程度。変換を毎回展開するのではなく、和 a+c と ac−b2 が保存されることを最初に固定する。(2)は単調量を与え、(3)では分母が常に2以上となるため bn が少なくとも半減する。an の単調性で2つの極限候補を選別する。
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出典: 東京大学 2007年度 後期 理科 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。