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東京大学 2001年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第3問

コインを投げる試行の結果によって,
数直線上にある2点ABを次のように動かす。

表が出た場合: 
Aの座標が点Bの座標より大きいときは,ABを共に正の方向に1動かす。
そうでないときは,Aのみ正の方向に1動かす。

裏が出た場合: 
Bの座標が点Aの座標より大きいときは,ABを共に正の方向に1動かす。
そうでないときは,Bのみ正の方向に1動かす。

最初2点ABは原点にあるものとし,
上記の試行をn回繰り返してABを動かしていった結果,
ABの到達した点の座標をそれぞれabとする。

(1) n回コインを投げたときの表裏の出方の場合の数2n通りのうち,
a=bとなる場合の数をXnとおく。
Xn+1Xnの間の関係式を求めよ。

(2) Xnを求めよ。

難易度5/ 10計算量4/ 10目安12

場合の数確率数列 状態分類漸化式の変形数学的帰納法

方針

2点の絶対位置ではなく差 d=ab だけを追う。操作後の差は常に 1,0,1 のいずれかで、d=0 からは次に必ず ±1 へ移り、d=1d=1 からは2通りのうち1通りだけが0へ戻る。したがって n 回後に等しい場合の補集合から Xn+1=2nXn を得る。閉じた式は、特解 2n/3 を引いて符号反転する数列に直して求める。

解答

(1) d=ab とおく。初めは d=0 である。操作の規則から、差 d の変化だけを見れば十分である。 d=0、すなわち a=b のとき、表が出れば A だけが1進むので d=1 となり、裏が出れば B だけが1進むので d=1 となる。したがって d=0 から次に d=0 へ進むことはない。 d=1、すなわち AB より1だけ右にあるとき、表なら A,B がともに1進むので d=1 のままであり、裏なら B だけが1進むので d=0 となる。

同様に d=1 のときは、裏なら d=1 のままで、表なら d=0 となる。よって d0 の場合からは、表裏2通りのうちちょうど1通りで d=0 に戻る。 n 回後の出方は全部で 2n 通りあり、そのうち d=0 であるものが Xn 通りである。したがって d0 であるものは 2nXn 通りであり、それぞれから次の1回で d=0 になる出方は1通りずつである。ゆえに Xn+1=2nXn である。

(2) 1 回後には d=1 または d=1 なので X1=0 である。

(1) の漸化式 Xn+1=2nXn に対して、2n/3 は特解である。実際、2n+13=2n2n3 である。そこで Yn=Xn2n3 とおくとYn+1=Xn+12n+13=(2nXn)2n+13=(Xn2n3)=Ynとなる。

また Y1=X123=23 であるから Yn=2(1)n3 である。したがって Xn=2n+2(1)n3 である。

別解

解法2(偶数番・奇数番に分ける)

方針

1段の漸化式から2段おきの漸化式を作る。
偶数番と奇数番を別々の等比数列の和として計算し、
最後に1つの式へまとめる。

解答

(1)

ab は常に 1,0,1 のいずれかである。
差が0なら次の試行後は必ず ±1 となり、
差が ±1 なら表裏の一方だけで0へ戻る。
したがってXn+1=2nXn.(2)

上式をもう1回用いるとXn+2=2n+1Xn+1=2n+Xn.X0=1, X1=0 だから、m0 に対してX2m=1+j=0m122j=4m+23,X2m+1=j=0m122j+1=2(4m1)3.この2式はXn=2n+2(1)n3とまとめられる。

総評

難度5、計算量4。点の座標そのものを追うと複雑に見えるが、等しいかどうかだけなら差 d=ab1,0,1 に閉じる。採点上は、d=0 からは次に等しくならないこと、d0 からは2通り中1通りだけ等しくなることを、表・裏の規則に即して説明するのが要点である。漸化式を得た後は、初期値 X1=0 と符号 (1)n のずれを確認したい。目安は12分程度。 2つの解法は標準的な答案手順と、別の構造から検算できる経路に分けた。必要性と十分性、等号条件、範囲を明示し、積分・総和・極限と主要な分数は読みやすい表示形式に統一した。

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出典: 東京大学 2001年度 前期 数学 第3問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。