方針
2点の絶対位置ではなく差 d=a−b だけを追う。操作後の差は常に −1,0,1 のいずれかで、d=0 からは次に必ず ±1 へ移り、d=1 と d=−1 からは2通りのうち1通りだけが0へ戻る。したがって n 回後に等しい場合の補集合から Xn+1=2n−Xn を得る。閉じた式は、特解 2n/3 を引いて符号反転する数列に直して求める。
解答
(1) d=a−b とおく。初めは d=0 である。操作の規則から、差 d の変化だけを見れば十分である。 d=0、すなわち a=b のとき、表が出れば A だけが1進むので d=1 となり、裏が出れば B だけが1進むので d=−1 となる。したがって d=0 から次に d=0 へ進むことはない。 d=1、すなわち A が B より1だけ右にあるとき、表なら A,B がともに1進むので d=1 のままであり、裏なら B だけが1進むので d=0 となる。
同様に d=−1 のときは、裏なら d=−1 のままで、表なら d=0 となる。よって d=0 の場合からは、表裏2通りのうちちょうど1通りで d=0 に戻る。 n 回後の出方は全部で 2n 通りあり、そのうち d=0 であるものが Xn 通りである。したがって d=0 であるものは 2n−Xn 通りであり、それぞれから次の1回で d=0 になる出方は1通りずつである。ゆえに Xn+1=2n−Xn である。
(2) 1 回後には d=1 または d=−1 なので X1=0 である。
(1) の漸化式 Xn+1=2n−Xn に対して、2n/3 は特解である。実際、32n+1=2n−32n である。そこで Yn=Xn−32n とおくとYn+1=Xn+1−32n+1=(2n−Xn)−32n+1=−(Xn−32n)=−Ynとなる。
また Y1=X1−32=−32 であるから Yn=32(−1)n である。したがって Xn=32n+2(−1)n である。
別解
解法2(偶数番・奇数番に分ける)
方針
1段の漸化式から2段おきの漸化式を作る。
偶数番と奇数番を別々の等比数列の和として計算し、
最後に1つの式へまとめる。
解答
(1)
差 a−b は常に −1,0,1 のいずれかである。
差が0なら次の試行後は必ず ±1 となり、
差が ±1 なら表裏の一方だけで0へ戻る。
したがってXn+1=2n−Xn.(2)
上式をもう1回用いるとXn+2=2n+1−Xn+1=2n+Xn.X0=1, X1=0 だから、m≧0 に対してX2mX2m+1=1+j=0∑m−122j=34m+2,=j=0∑m−122j+1=32(4m−1).この2式はXn=32n+2(−1)nとまとめられる。
総評
難度5、計算量4。点の座標そのものを追うと複雑に見えるが、等しいかどうかだけなら差 d=a−b が −1,0,1 に閉じる。採点上は、d=0 からは次に等しくならないこと、d=0 からは2通り中1通りだけ等しくなることを、表・裏の規則に即して説明するのが要点である。漸化式を得た後は、初期値 X1=0 と符号 (−1)n のずれを確認したい。目安は12分程度。 2つの解法は標準的な答案手順と、別の構造から検算できる経路に分けた。必要性と十分性、等号条件、範囲を明示し、積分・総和・極限と主要な分数は読みやすい表示形式に統一した。
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出典: 東京大学 2001年度 前期 数学 第3問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。