Evolton

東京大学 2005年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第4問

Nを1以上の整数とする。
数字1,2,,Nが書かれたカードを1枚ずつ,計N枚用意し,甲,乙のふたりが次の手順でゲームを行う。

(i) 甲が1枚カードをひく。そのカードに書かれた数をaとする。ひいたカードはもとに戻す。

(ii) 甲はもう1回カードをひくかどうかを選択する。ひいた場合は,そのカードに書かれた数をbとする。ひいたカードはもとに戻す。ひかなかった場合は,b=0とする。a+b>Nの場合は乙の勝ちとし,ゲームは終了する。

(iii) a+bNの場合は,乙が1枚カードをひく。そのカードに書かれた数をcとする。ひいたカードはもとに戻す。a+b<cの場合は乙の勝ちとし,ゲームは終了する。

(iv) a+bcの場合は,乙はもう1回カードをひく。そのカードに書かれた数をdとする。a+b<c+dNの場合は乙の勝ちとし,それ以外の場合は甲の勝ちとする。

(ii)の段階で,甲にとってどちらの選択が有利であるかを,aの値に応じて考える。以下の問いに答えよ。

(1) 甲が2回目にカードをひかないことにしたとき,甲の勝つ確率をaを用いて表せ。

(2) 甲が2回目にカードをひくことにしたとき,甲の勝つ確率をaを用いて表せ。

ただし,各カードがひかれる確率は等しいものとする。

難易度7/ 10計算量7/ 10目安30

確率場合の数 場合分け、条件付き確率、数え上げ

方針

甲の合計点を S と固定して、乙に手番が渡った後だけを先に数える。SN なら、乙の1枚目 cc>S のときは即座に乙の勝ちで、1cS のときだけ2枚目 d を考える。このとき甲が勝つのは c+dS または c+d>N であり、各 c について有利な dS 通りになる。したがって固定合計 S での甲の勝率は S2N2 である。(1)は S=a、(2)は b ごとに S=a+b として平均する。最後に有利不利を判定するなら、2つの確率の差の符号を比較する。

解答

(1)

甲が2回目を引かないとき、合計は a である。乙の1枚目を c とすると、c>a ならその時点で乙が勝つので、甲が勝ち得るのは 1ca の場合だけである。

この c を固定する。乙の2枚目を d とすると、甲が勝つのはc+daまたはc+d>Nのときである。前者を満たす dac 通り、後者は c 通りで、両者は重ならない。したがって各 c に対して有利な da 通り、全体では a2 組である。よって確率はa2N2.(2)

2枚目の数を b とする。a+b>N なら甲は直ちに負ける。1bNa では合計 S=a+b に (1) の数え上げを適用でき、条件付き確率は(a+b)2N2である。したがって求める確率は1Nb=1Na(a+b)2N2=1N3k=a+1Nk2=N(N+1)(2N+1)a(a+1)(2a+1)6N3.なお、2回目を引く方が有利かどうかはD(a)=k=a+1Nk2Na2の符号で決まる。さらにD(a+1)D(a)=(a+1)2N(2a+1)<0なので、a が大きくなるほど2回目を引く利点は一方的に小さくなる。

条件・検算

手順(iii)で終了する場合にも仮想的な d を付ける計数は確率を変えない。(2) では a+b>N の即時敗北を和の範囲で除外する。

別解

解法2(乙の勝ちを余事象で数える)

方針

甲の合計 SN を固定し、乙の1枚目で即終了する場合にも仮想的な2枚目を付けて全 N2 組を数える。乙の勝ちが N2S2 組になることから甲の勝率を得る。

解答

甲の合計を SN と固定する。c>S で即終了する場合にも、計数上は仮想的な2枚目 d を付ける。この場合の乙の勝ちは (NS)N 組である。

1cS では、乙が勝つ条件は S<c+dN であり、各 c に対して dNS 通りある。したがって乙の勝ち=(NS)N+S(NS)=N2S2,甲の勝ち=S2となり、固定合計 S での甲の勝率は S2N2 である。

(1)

2回目を引かないときは S=a だからa2N2.(2)

b>Na なら甲は直ちに負ける。1bNa では S=a+b なので、b について平均してP=1Nb=1Na(a+b)2N2=1N3k=a+1Nk2=N(N+1)(2N+1)a(a+1)(2a+1)6N3.

総評

難度7、計算量7。固定した甲の合計 S に対する勝率を S2N2 と数えることが核心である。c+d>N でも甲が勝つ点と、2枚目を引く場合は a+b>N を除く点に注意する。最後は D(a) の符号と狭義単調減少性で有利不利を判定する。

問題・解答の積分・総和・極限は原則として独立行に置き、分数は表示サイズで可読性を確保した。図は原問題の関係または答案の論理を確認するための独自作図であり、条件・境界・結論を本文だけでも追えるようにした。

冊子PDFで見る東大の確率の問題で問題集を作る

出典: 東京大学 2005年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。