方針
(1) (2) は文科第3問と同じ状態遷移で処理する。現在の個数 が15以下なら次は または0,16以上なら次は30または になる。(3) は初期値6から,吸収されずに進む経路 を追う。4回を1単位にすると,30に到達する確率が ,6に戻る確率が なので, の一次漸化式に帰着する。
解答
(1) 現在,箱 に入っているボールの個数を とする。
のときは である。表なら から に 個移すので は 個になり,裏なら から に 個移すので は0個になる。 では0個から30個になることはないから である。
のときは である。表なら は30個になり,裏なら 個になる。したがって である。
(2) とおく。10から1回で,表なら20,裏なら0になる。0に移ると以後30にはならない。20から1回で,表なら30,裏なら10になる。したがって,2回を1単位にすると,10から30に到達する確率が ,10に戻る確率が である。
よって であり, である。これを解くと だから である。
(3) とおく。6から出発して,0または30に吸収されない道だけを追うと という4段階の循環になる。実際,6から表で12,12から表で24,24から裏で18,18から裏で6である。この4回すべてが循環方向に進む確率は である。
一方,4回以内に30へ到達する場合を数える。6から12,12から24 へ進んだ後,24で表が出ると30に到達する。この確率は である。また,24で裏が出て18へ進んだ後,18で表が出ると30に到達する。この確率は である。したがって4回以内に30へ到達する確率は である。
よって で が成り立つ。また である。定数解は より である。したがって であり, から となる。
したがって である。
2回周期と4回周期
10は2回、6は4回を1単位にすると復帰確率が一定になる。
別解
解法2(復帰回数による幾何級数)
方針
(2) は10へ戻る2回周期、(3) は6へ戻る4回周期に注目する。成功するまで同じ周期を何回繰り返したかで事象を互いに排反に分け、初成功確率の幾何級数を直接足す。
解答
(1) 1回後の状態で条件づければである。
(2) 10から2回のうちに30へ到達する確率は 、10へ戻る確率も である。よって第 組で初めて成功する確率はであり、(3) 6から吸収されずに進む4回周期はであり、6へ戻る確率は である。一方、30へ到達するのは、24で表が出る場合と、24で裏、続いて18で表が出る場合であるから、1周期内の成功確率はしたがって第 周期で初めて成功する確率はである。ゆえに漸化式を解かず、初成功の互いに排反な事象を直接数えた。
総評
難度は10段階中6、計算量は10段階中5。目安時間は28分程度で、吸収状態と短い周期を見つける状態遷移問題である。(2) は2回周期、(3) は の4回周期としてまとめる。
(3) の成功枝は「24で表」と「24で裏、18で表」の2本であり、合計 になる。漸化式法と初成功時刻の直接和は独立な検算になるので、復帰確率 と成功確率 を混同しないことが重要である。