Evolton

東京大学 2010年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第6問

四面体OABCにおいて,
4つの面はすべて合同であり,
OA=3OB=7AB=2であるとする。
また,3点OABを含む平面をLとする。

(1)Cから平面Lにおろした垂線の足をHとおく。
OHOAOBを用いて表せ。

(2) 0<t<1をみたす実数tに対して,
線分OAOB各々をt:1tに内分する点をそれぞれPtQtとおく。
2点PtQtを通り,平面Lに垂直な平面をMとするとき,
平面Mによる四面体OABCの切り口の面積S(t)を求めよ。

(3) t0<t<1の範囲を動くとき,S(t)の最大値を求めよ。

難易度8/ 10計算量7/ 10目安40

ベクトル図形と方程式微分 ベクトル成分計算内積の利用面積計算微分による最大最小

方針

4面合同から向かい合う辺の長さが等しいことを用い,OC=2AC=7BC=3 として内積を求める。(1) は OH=αOA+βOB とおき,CH が平面 L に垂直である条件を内積0で立てる。(2) は平面 ML に垂直なので,M 内で平面 L からの高さを変数にして切り口の水平線分の長さを積分する。H の位置により,切り口の上端がどの面に当たるかが t=2/9 で切り替わる。

解答

(1) 4つの面がすべて合同であるから,向かい合う辺の長さは等しい。面 OAB の辺の長さが OA=3,OB=7,AB=2 であることから OC=AB=2,AC=OB=7,BC=OA=3 である。a=OA,b=OB,c=OCとおく。まず a2=9,b2=7,c2=4 である。また AB2=ba2=a2+b22ab より 4=9+72ab だから ab=6 である。同様に AC2=ca2=7 より 7=9+42ac なので ac=3 である。また BC2=cb2=9 より 9=7+42bc なので bc=1 である。

H は平面 L 上にあるから OH=αa+βb とおける。さらに CH は平面 L に垂直なので(cαaβb)a=0,(cαaβb)b=0である。内積を代入すると 39α6β=0,16α7β=0 すなわち 9α+6β=3,6α+7β=1 である。これを解くと α=59,β=13 である。よってOH=59OA13OBである。

(2) まず高さを求める。(1) の結果からOH2=cOH=59(ca)13(cb)=593131=43である。したがって CH2=OC2OH2=443=83 より CH=263 である。

また,平面 L 上で AB に平行な直線族を O 側から AB 側へ測るアフィン座標を考えると,H の値は5913=29である。ただし係数 β=1/3 であるから,H 自体は三角形 OAB の外側にある。

Pt,Qt はそれぞれ OPt=ta,OQt=tb であるから,PtQtAB に平行で,その長さは PtQt=tAB=2t である。

平面 MPtQt を含み,平面 L に垂直である。平面 M 内で,C へ向かう割合を u とする。すなわち,平面 L からの高さは uCH(0u1) である。この高さでの四面体の断面は,平面 L 上の三角形 OABC に向かって相似に縮んだものなので,PtQt に平行な切り口の長さは 2(t29u) となる。ただし,この線分が四面体の内部に残るためには,左端と右端の両方が三角形内にある必要がある。

その条件は 0u9t2 および 0u9(1t)7 である。したがって N=min(9t2,9(1t)7) とおけば,切り口の面積は S(t)=CH0N2(t29u)du である。

ここで 9t29(1t)77t2(1t) すなわち t29 と同値である。

まず 0<t2/9 のとき,N=9t/2 である。よって S(t)=26309t/22(t29u)du. 積分すると09t/22(t29u)du=[2tu29u2]09t/2=9t22であるから S(t)=36t2 である。

次に 2/9t<1 のとき,N=9(1t)/7 である。したがって S(t)=263[2tu29u2]09(1t)/7. 整理すると S(t)=12649(1t)(8t1) である。

よってS(t)={36t2(0<t29),12649(1t)(8t1)(29t<1)である。

(3) 0<t2/9 では S(t)=36t2 であり,これは増加する。したがってこの区間での最大値は t=2/9 のとき 36(29)2=4627 である。

2/9t<1 では S(t)=12649(1t)(8t1) である。ここで (1t)(8t1)=8t2+9t1 は上に凸の2次式で,頂点は t=916 である。この値は 2/9<t<1 を満たす。したがって後半区間での最大値は12649(1916)(89161)である。括弧内は 71672=4932 なので Smax=126494932=368 である。これは前半区間の最大値 46/27 より大きい。

よって最大値は 368 である。

四面体と垂直断面

MPtQt を含み、底面 L に垂直である。

別解

解法2(直交座標と重心座標)

方針

平面 Lxy 平面に取り、O,A,B,C の座標を辺長条件から決める。切り口上の点を四面体の重心座標で表すと、平面 M の条件と四面体内部の条件が一次不等式になり、切り口の横幅と高さ範囲を直接求められる。

解答

(1) 平面 Lxy 平面とし、O=(0,0,0),A=(3,0,0)とおく。OB=7AB=2 よりB=(2,3,0)とできる。4面合同からOC=2,AC=7,BC=3である。これら3本の距離条件を解くと、z>0 側の CC=(1,13,263)となる。したがってH=(1,13,0).OH=αOA+βOB と比較するとβ3=13,3α+2β=1なのでOH=59OA13OB.(2)  AB に平行な底面上の直線を測る一次式としてw(x,y)=3x+y33を用いる。実際、w(O)=0,w(A)=w(B)=1,w(H)=29.Pt,Qt を通り L に垂直な平面 Mw=tで表される。

切り口上の点をλA+μB+νCと表す。四面体内部の条件はλ,μ,ν0,λ+μ+ν1である。w=t よりλ+μ+29ν=t.固定した ν では λ+μ=t2ν/9 だから、AB に平行な切り口の長さは2(t29ν).また λ+μ0
λ+μ+ν1 から0νN,N=min(9t2,9(1t)7).νdν 増えると高さは263dνだけ増えるのでS(t)=2630N2(t29ν)dν.N の切り替わりは9t2=9(1t)7t=29である。積分してS(t)={36t2(0<t29),12649(1t)(8t1)(29t<1).(3)  前半は単調増加する。後半の(1t)(8t1)=8t2+9t1t=9/16 で最大となる。両区間の値を比較するとmaxS(t)=368であり、これは t=9/16 のときに達成される。

総評

難度は10段階中8、計算量は10段階中7。目安時間は40分程度で、面合同から辺長を対応させ、射影、切り口、最大値へつなぐ総合問題である。(1) は内積でも直交座標でも確認でき、H が底面三角形の外側にあることも係数 1/3 と整合する。

(2) の本質は、切り口の横幅が 2(t2u/9) と一次的に変化し、上端が u=9t/2u=9(1t)/7 の小さい方で決まることである。切り替わり t=2/9 の由来を明記し、(3) では2区間の最大値を別々に求めて比較する。

冊子PDFで見る東大のベクトルの問題で問題集を作る

出典: 東京大学 2010年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。