方針
命題Aは全称命題なので、左辺と右辺の差を整数値で確認し、1つでも負になる例を探せばよい。命題Bは条件式に n,m が対称に現れるため、s=n+m と d=n−m を導入して l と nm を消去する。最後は s=0 が整数条件に反することを確認し、得られた二次式が必ず負になることを示す。
解答
命題Aは偽である。実際,n=17 とすると26173+100−172=264913+100−289=264913−4914=−261<0である。したがって 26173+100<172 となり,命題Aの反例が得られる。
命題Bは真である。以下で証明する。まず s=n+m,d=n−m とおく。条件 5n+5m+3l=1 は 5s+3l=1 であるから 3l=1−5s である。したがって,示すべき式の左辺は 10nm+3ml+3nl=10nm+3l(n+m)=10nm+3ls と書ける。ここに 3l=1−5s を代入すると 10nm+3ls=10nm+s−5s2 である。
さらに n=2s+d,m=2s−d より nm=4s2−d2 である。よって10nm+s−5s2=10⋅4s2−d2+s−5s2=s−25s2−25d2となる。
ここで s=0 とすると条件式から 3l=1 となり,整数 l が存在しない。したがって s は 0 でない整数である。ゆえに s≧1 のとき s−25s2≦1−25<0 であり,s≦−1 のときも明らかに s−25s2<0 である。また −25d2≦0 だから 10nm+3ml+3nl=s−25s2−25d2<0 が従う。よって命題Bは真である。
別解
解法2(命題Bを整数ごとに分離)
方針
命題Aは同じ反例で直ちに否定する。命題Bでは s,d を導入せず、条件式から 3l を消去して、示す式を n だけの項と m だけの項の和へ分離する。各項の符号と等号条件を整数性から調べる。
解答
命題Aは偽である。実際、n=17 のとき26173+100−172=264913−4914=−261<0となるので、n=17 が反例である。
次に命題Bを示す。条件式から3l=1−5(n+m)である。したがって10nm+3ml+3nl=10nm+3l(n+m)=10nm+(n+m)−5(n+m)2=−(5n2−n)−(5m2−m)となる。
整数 k に対して5k2−k=k(5k−1)≧0である。実際、k≧1 なら両因子は正、k=0 なら 0、k≦−1 なら両因子は負である。また、等号が成り立つ整数は k=0 だけである。
よって上の式は 0 以下である。もし 0 なら n=m=0 でなければならないが、このとき条件式は 3l=1 となり、整数 l は存在しない。したがって等号は起こらず10nm+3ml+3nl<0である。ゆえに命題Bは真である。
総評
難度4、計算量3。目安時間は12分。命題Aは全称命題を反例で否定する典型で、n=17 の代入を分数まで正確に確認できればよい。命題Bは n,m の対称性に気づき、条件式で l を消すのが採点上の中心である。第1解法は s=n+m,d=n−m による平方和、第2解法は式を −(5n2−n)−(5m2−m) と直接分離して、異なる形で厳密な負を確認した。どちらも等号が条件式と両立しないことまで書く必要がある。反例と証明を混同せず、Aは偽、Bは真と最初に明示すると答案が読みやすい。
冊子PDFで見る東大の方程式・不等式の問題で問題集を作る
出典: 東京大学 2015年度 第2次学力試験 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。