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東京大学 2020年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第1問

a,b,c,pを実数とする。不等式ax2+bx+c>0bx2+cx+a>0cx2+ax+b>0をすべて満たす実数xの集合と,
x>pを満たす実数xの集合が一致しているとする。

(1) a,b,cはすべて0以上であることを示せ。

(2) a,b,cのうち少なくとも1個は0であることを示せ。

(3) p=0であることを示せ。

難易度6/ 10計算量4/ 10目安22

方程式・不等式論証・証明関数 必要十分条件、場合分け、不等式評価、背理法

方針

共通解集合を S とする。(1)は十分大きい正の x を代入し、3つの最高次係数の符号を決める。(2)は全係数が正なら x=0 と十分大きい負の x がともに S に入り半直線と矛盾する。(3)は x>0, x=0, x<0 に分け、零係数から負の x を排除する。

解答

3つの不等式をすべて満たす集合を S とする。仮定よりS={xx>p}.(1)

十分大きい正の xS に属する。もし a<0 ならax2+bx+c(x)となって矛盾する。よって a0 である。同様に第2式、第3式の最高次係数からa0,b0,c0を得る。

(2)

a,b,c がすべて正だと仮定する。x=0 では3式の値がそれぞれ c,a,b だから 0S、したがって p<0 である。

一方、x では3つの二次式はいずれも正の二次項に支配されて正になる。十分小さい xpS に入ることになり、S=(p,) に反する。ゆえに a,b,c の少なくとも1個は0である。

(3)

a=b=c=0 なら S は空集合になるが、(p,) は空でない。したがって少なくとも1個の係数は正である。

x>0 なら、各式は非負の係数 a,b,c に正数 x2,x,1 を掛けた和であり、少なくとも1項は正である。よってx>0xS.x=0 では3式の値は c,a,b であり、少なくとも1個が0だから 0S である。

最後に x<0 とし、t=x>0 とおく。たとえば c=0 なら、第1式と第3式からat2bt>0,at+b>0が必要である。前者は at>b、後者は b>at を意味し、矛盾する。a=0b=0 の場合も添字を巡回させれば同じ矛盾が生じる。したがって負の xS に属さない。

以上よりS=(0,).これが (p,) と一致するのでp=0.

別解

解法2(零係数を巡回置換して2式をまとめる方法)

方針

(1) (2)で非負かつ零係数を含むことを示した後、式の巡回対称性により a=0 としてよい。第1式を L(x)>0、第2式を xL(x)>0 と見ると、共通解には x>0 が必要であり、逆も直ちに確認できる。

解答

(1)

すべての十分大きい正の x が3不等式を満たすため、それぞれの二次式の最高次係数は負になれない。よってa,b,c0.(2)

もし a,b,c>0 なら x=0 は共通解である。また絶対値の十分大きい負の x も、正の二次項が支配的になるため共通解である。この共通解集合は右向き半直線にならない。したがって少なくとも1個は0である。

(3)

3式と係数 a,b,c は巡回対称だから、零係数を a=0 としてよい。また3係数がすべて0ではないので、b,c の少なくとも一方は正である。

このとき最初の2不等式はbx+c>0,bx2+cx=x(bx+c)>0.両方が成り立つなら、第1式の因子 bx+c は正だから、必ず x>0 である。

逆に x>0 ならbx+c>0,x(bx+c)>0,cx2+b>0.ここで最後の式も、b,c の少なくとも一方が正なので厳密に正である。したがって共通解集合はちょうど(0,)であり、p=0 となる。

総評

難度6、計算量4。想定時間は22分程度。解集合が右向き半直線であることを、十分大きい正の xx=0、十分大きい負の x に順に使う論証問題である。(3)は零係数を1つ固定すると、2つの不等式が L(x)>0xL(x)>0 の形になり、負の x を一度に排除できる。

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出典: 東京大学 2020年度 前期日程 第2次学力試験 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。