方針
の座標を求め,まずの正接がであることを確認する。次に,直線との傾きを出し,2直線のなす角の正接を傾きの公式での式にする。分母が正であることを確認してと置けばが求まる。(2)は得た式にを代入して3次式を因数分解する。(3)は,と表し,をに直しての不等式へ落とす。
解答
(1)
,であるから,線分の中点は である。
まず,をとおく。三角形はで直角で,であるから である。
次にを傾きで表す。直線の傾きは である。また,直線の傾きは である。よりであり,2直線の傾きの差を用いるとである。
条件(ii)よりであり,どちらの角も鋭角なので正接を等しくしてよい。したがって である。両辺を整理すると より である。なのでであり, を得る。なお,この式では であるから,条件にも合っている。
(2)
を(1)の式に代入すると である。分母を払って となり,整理して を得る。左辺は と因数分解できる。なのでは不適であり, を解く。よって であり,正でを満たすのは である。
(3)
三角形は底辺,高さなので である。一方,三角形は底辺,高さがなので である。したがっては すなわち と同値である。
(1) の式を代入して を得る。よりかつなので,不等号の向きを変えずに整理できる。両辺をで割り,さらに分母を払うと である。よって となる。だから,求める範囲は である。
点の配置と2つの等しい角は次の図で確認できる。
図は の代表例である。式から常に となるので,導出した点の順序は問題の条件と整合する。
別解
別解(回転ベクトルで角条件を処理)
方針
角の正接公式を展開せず,ベクトルをだけ回転した方向がと一致することを使う。から回転後の傾きを直接求め,を決める。後半は代入と面積比較で処理する。
解答
(1) とおく。直角三角形よりだから,はと同じ向きをもつ。一般に、ベクトルを反時計回りにだけ回転したベクトルの成分は、三角関数の加法定理によりである。したがってを回転したベクトルはとなる。条件より,この方向がの方向である。一方,直線の傾きはなのでを用いて整理すると(2) を代入するとよりである。
(3) だから,はと同値である。(1)を代入し,に注意して整理するとよってである。
総評
角条件を座標式へ翻訳し,残りを代入・面積比較で処理する問題。難度5,計算量5,想定時間20分。解法1は2直線の傾きから正接を計算し,別解はの回転での方向を得る。 によって分母が正であること,導出後に を確認することが論理上重要である。
【出典確認】 東京大学公式「令和6年度前期日程第2次学力試験・文科数学」PDF第8ページを原寸画像で照合し,点の順序 ,角条件,面積記号 を確認した。公式解答・採点講評は公表されていない。
【独立検算】 を角の正接公式と加法定理による回転公式の2経路から導いた。 を3次式へ代入して を確認し,代表値で2角の数値も一致することを確認した。面積条件は底辺と高さから と再計算した。