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東京大学 2024年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第6問

2以上の整数で,1とそれ自身以外に正の約数を持たない数を素数という。以下の問いに答えよ。

(1) f(x)=x3+10x2+20xとする。
f(n)が素数となるような整数nをすべて求めよ。

(2) a,bを整数の定数とし,g(x)=x3+ax2+bxとする。
g(n)が素数となるような整数nの個数は3個以下であることを示せ。

難易度7/ 10計算量5/ 10目安28

整数論証・証明方程式・不等式 素因数分解、場合分け、必要十分条件、背理法、式変形

方針

(1)f(n)=n(n2+10n+20)と因数分解し,積が正の素数になる条件を整数の積として分類する。n=1n=1nが正の素数で他方の因数が1,nが負の素数の反数で他方の因数が1,の4通りだけを調べる。(2)も同じ分類を一般のg(n)=n(n2+an+b)に対して行う。正の素数側と負の素数側は同時に起こらないことを示し,もし4個以上あるならn=1,1の両方に加えて片側で2個必要になる。n=1,1がともに起こるとa>0が従い,正の素数側2個・負の素数側2個のどちらも矛盾することを示す。

解答

(1) f(n)=n3+10n2+20n=n(n2+10n+20) である。f(n)が素数であるとは,f(n)が2以上の正の素数であることをいう。

整数の積n(n2+10n+20)が正の素数になるためには,因数の一方が1または1でなければならない。場合分けする。

n=1のとき f(1)=1+10+20=31 であり,これは素数である。

n=1のとき f(1)=1+1020=11 であり,正の素数ではない。

次に,nが2以上の正の素数で,もう一方の因数が1の場合を考える。このとき n2+10n+20=1 であり,n2+10n+19=0 となる。しかし判別式は 102419=24 で平方数ではないので,整数解をもたない。

最後に,nが負でnが素数,もう一方の因数が1の場合を考える。このとき n2+10n+20=1 であり,n2+10n+21=0 すなわち (n+3)(n+7)=0 である。よって n=3,7 を得る。実際,f(3)=3,f(7)=7 であり,どちらも素数である。

以上より,求める整数n7,3,1 である。

(2) g(n)=n3+an2+bn=n(n2+an+b) である。g(n)が正の素数になるなら,整数の積の一方が1または1でなければならない。したがって,可能性は次の4種類に限られる。A:n=1 で g(1)=1+a+b が素数,B:n=1 で g(1)=ab1 が素数,C:n=p が正の素数で p2+ap+b=1,D:n=p が負の整数で p が正の素数,かつ p2ap+b=1.まず,CとDは同時には起こらないことを示す。Cが正の素数pで起こり,Dが正の素数qに対して起こると仮定する。すると p2+ap+b=1,q2aq+b=1 である。2式を引くと p2q2+a(p+q)=2 すなわち (p+q)(pq+a)=2 となる。しかしp,qは正の素数なのでp+q>2であり,左辺は整数の積であるから2にはなりえない。よってCとDは同時には起こらない。

次に,g(n)が素数となる整数nが4個以上あると仮定して矛盾を導く。AとBはそれぞれ高々1個ずつであり,CとDは同時に起こらない。また,CもDもそれぞれ2次方程式で決まるので,それぞれ高々2個である。したがって4個以上にするには,AとBがともに起こり,さらにCが2個以上またはDが2個以上起こる必要がある。

AとBがともに起こるなら,1+a+bab1はいずれも正の素数である。したがってその和 (1+a+b)+(ab1)=2a は正であり,a>0 である。

Cが2個以上起こるとする。相異なる正の素数p,qについて p2+ap+b=1,q2+aq+b=1 が成り立つ。2式を引くと (pq)(p+q+a)=0 である。pqであり,またp+q+a>0であるから,これは不可能である。

Dが2個以上起こるとする。相異なる正の素数p,qについて p2ap+b=1,q2aq+b=1 が成り立つ。2式を引くと (pq)(p+qa)=0 であり,pqより a=p+q である。これをp2ap+b=1に代入すると p2p(p+q)+b=1 より b=pq1 である。

ところがBが起こるためには g(1)=ab1 が正の素数でなければならない。しかし上のa,bを代入すると ab1=(p+q)(pq1)1=p+qpq=1(p1)(q1) である。p,qは相異なる正の素数なのでp,q2であり,右辺は0以下である。したがってg(1)は正の素数ではない。これはBが起こることに矛盾する。

以上より,Cが2個以上の場合もDが2個以上の場合も不可能である。したがってg(n)が素数となる整数nの個数は3個以下である。

総評

整数値多項式が素数になる条件を,積 n(n2+an+b) の因数が±1 になる場合へ分類する整数問題。難度7,計算量5,想定時間28分。(2)では n=±1,正の素数 n=p,負の素数絶対値 n=p の4型を漏れなく列挙し,正負両側の2次方程式が同時には成立しないことを示す。4個以上を仮定したときの矛盾まで丁寧に追う必要がある。

【出典確認】 東京大学公式「令和6年度前期日程第2次学力試験・理科数学」PDF第14ページを原寸画像で照合し,問題文の素数の定義,f(x)=x3+10x2+20x,一般の整数 a,b を確認した。公式解答・採点講評は公表されていない。

【独立検算】 (1)は広い整数範囲を直接走査して 7,3,1 のみであることを確認した。(2)は小範囲の整数 a,b,n を全探索し,素数値を与える n が4個以上になる例がないことを確認した。これは定理の証明の代用ではなく,答案のA〜D分類と矛盾証明に対する独立な有限範囲の検算である。

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出典: 東京大学 令和6年度前期日程 第2次学力試験 理科数学(公式問題PDF)(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。