方針
(1) はと因数分解し,積が正の素数になる条件を整数の積として分類する。,,が正の素数で他方の因数が1,が負の素数の反数で他方の因数が,の4通りだけを調べる。(2)も同じ分類を一般のに対して行う。正の素数側と負の素数側は同時に起こらないことを示し,もし4個以上あるならの両方に加えて片側で2個必要になる。がともに起こるとが従い,正の素数側2個・負の素数側2個のどちらも矛盾することを示す。
解答
(1) である。が素数であるとは,が2以上の正の素数であることをいう。
整数の積が正の素数になるためには,因数の一方がまたはでなければならない。場合分けする。
のとき であり,これは素数である。
のとき であり,正の素数ではない。
次に,が2以上の正の素数で,もう一方の因数が1の場合を考える。このとき であり, となる。しかし判別式は で平方数ではないので,整数解をもたない。
最後に,が負でが素数,もう一方の因数がの場合を考える。このとき であり, すなわち である。よって を得る。実際, であり,どちらも素数である。
以上より,求める整数は である。
(2) である。が正の素数になるなら,整数の積の一方がまたはでなければならない。したがって,可能性は次の4種類に限られる。まず,CとDは同時には起こらないことを示す。Cが正の素数で起こり,Dが正の素数に対して起こると仮定する。すると である。2式を引くと すなわち となる。しかしは正の素数なのでであり,左辺は整数の積であるから2にはなりえない。よってCとDは同時には起こらない。
次に,が素数となる整数が4個以上あると仮定して矛盾を導く。AとBはそれぞれ高々1個ずつであり,CとDは同時に起こらない。また,CもDもそれぞれ2次方程式で決まるので,それぞれ高々2個である。したがって4個以上にするには,AとBがともに起こり,さらにCが2個以上またはDが2個以上起こる必要がある。
AとBがともに起こるなら,とはいずれも正の素数である。したがってその和 は正であり, である。
Cが2個以上起こるとする。相異なる正の素数について が成り立つ。2式を引くと である。であり,またであるから,これは不可能である。
Dが2個以上起こるとする。相異なる正の素数について が成り立つ。2式を引くと であり,より である。これをに代入すると より である。
ところがBが起こるためには が正の素数でなければならない。しかし上のを代入すると である。は相異なる正の素数なのでであり,右辺は0以下である。したがっては正の素数ではない。これはBが起こることに矛盾する。
以上より,Cが2個以上の場合もDが2個以上の場合も不可能である。したがってが素数となる整数の個数は3個以下である。
総評
整数値多項式が素数になる条件を,積 の因数が になる場合へ分類する整数問題。難度7,計算量5,想定時間28分。(2)では ,正の素数 ,負の素数絶対値 の4型を漏れなく列挙し,正負両側の2次方程式が同時には成立しないことを示す。4個以上を仮定したときの矛盾まで丁寧に追う必要がある。
【出典確認】 東京大学公式「令和6年度前期日程第2次学力試験・理科数学」PDF第14ページを原寸画像で照合し,問題文の素数の定義,,一般の整数 を確認した。公式解答・採点講評は公表されていない。
【独立検算】 (1)は広い整数範囲を直接走査して のみであることを確認した。(2)は小範囲の整数 を全探索し,素数値を与える が4個以上になる例がないことを確認した。これは定理の証明の代用ではなく,答案のA〜D分類と矛盾証明に対する独立な有限範囲の検算である。