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東京大学 2025年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第6問

複素数平面上の点12を中心とする半径12の円の周から原点を除いた曲線をCとする。

(1) 曲線C上の複素数zに対し,1zの実部は1であることを示せ。

(2) α,βを曲線C上の相異なる複素数とするとき,
1α2+1β2がとりうる範囲を複素数平面上に図示せよ。

(3) γを(2)で求めた範囲に属さない複素数とするとき,
1γの実部がとりうる値の最大値と最小値を求めよ。

難易度7/ 10計算量6/ 10目安25

複素数平面図形と方程式関数 実部虚部比較、座標設定軌跡、範囲評価、図形的解釈

方針

(1)z=x+yi とおき,円の方程式から x2+y2=x を得て 1/z の実部を計算する。(2)では 1/α=1+si1/β=1+ti とおく。すると和は X+Yi=2s2t2+2(s+t)i となり,st から X<2Y2/8 が出る。逆向きも,和と二乗和を指定して相異なる実数 s,t を作ればよい。(3)は補集合 X2Y2/8 上で X/(X2+Y2) を評価し,最大・最小を円の不等式に変換する。

解答

(1) z=x+yi とおく。z は中心 1/2,半径 1/2 の円周上にあるので (x12)2+y2=14 である。これを展開すると x2x+14+y2=14 より x2+y2=x を得る。

また,曲線 C では原点を除いているので z0 である。したがって 1z=xyix2+y2 であり,その実部は xx2+y2 である。上で得た x2+y2=x を用いると xx2+y2=1 となる。よって 1/z の実部は1である。

(2)
(1)より,α,βC 上にあるとき 1α=1+si,1β=1+ti とおける。ただし s,t は実数である。αβ であり,写像 z1/z は一対一なので,st である。

このとき1α2+1β2=(1+si)2+(1+ti)2=2s2t2+2(s+t)iである。これを X+Yi とおくと X=2s2t2,Y=2(s+t) である。実数 s,t について s2+t2(s+t)22 が成り立ち,等号は s=t のときに限る。今回は st だから s2+t2>(s+t)22=Y28 である。したがって X=2s2t2<2Y28 を得る。

逆に,実数 X,YX<2Y28 を満たすとする。 p=Y2,q=2X とおくと,条件は q>p22 である。和が p,二乗和が q である2つの実数 s,t を取ればよい。実際,s+t=p のもとで s2+t2=q となる条件は (st)2=2qp2>0 であり,これは相異なる実数 s,t を与える。すると上の計算により,その s,t からちょうど X+Yi が得られる。

よって求める範囲は {X+YiX<2Y28} である。これは放物線 X=2Y28 の左側の領域であり,境界は含まない。

複素数平面では、横軸を実部 X、縦軸を虚部 Y とすると次の図の青い領域である。破線の境界は含まない。

(3) γ=X+Yi とおく。(2)で求めた範囲に属さないので X2Y28 である。また 0 は(2)の範囲に属するため,ここでは γ0 である。したがって 1γ=XYiX2+Y2 であり,その実部は F=XX2+Y2 である。

まず最大値を求める。F1/2XX2+Y212 すなわち X2+Y22X と同値であり,これは (X1)2+Y21 である。これを領域の条件から示す。 q=Y2 とおく。固定した q に対して,許される XX2q8 である。(X1)2+q の最小値を考える。 q8 のときは 2q/81 なので,X=1 が許され,最小値は q8 である。よって1以上である。 0q<8 のときは 2q/8>1 なので,最小は端点 X=2q/8 でとる。このとき (1q8)2+q=1+3q4+q2641 である。したがって常に (X1)2+Y21 であり,F12 が成り立つ。等号は (X,Y)=(2,0) で成り立つので,最大値は 12 である。

次に最小値を求める。F1/16XX2+Y2116 すなわち X2+Y216X と同値であり,これは (X+8)2+Y264 である。

再び q=Y2 とおく。固定した q に対して,(X+8)2+q の最小値を考える。 q80 のときは 2q/88 なので,X=8 が許され,最小値は q80>64 である。 0q<80 のときは 2q/8>8 なので,最小は端点 X=2q/8 でとる。このとき (10q8)2+q=64+(q48)26464 である。したがって常に (X+8)2+Y264 であり,F116 が成り立つ。等号は q=48,X=2488=4 すなわち (X,Y)=(4,±43) で成り立つ。よって最小値は 116 である。

以上より,1/γ の実部の最大値と最小値はそれぞれ 12,116 である。

総評

難度7,計算量6。想定時間は25分前後。中心 1/2,半径 1/2 の円が z1/z によって実部1の直線へ移ることを,座標計算で確実に示すのが出発点である。(2)では αβ が境界を含まない条件につながるため,等号不成立の理由を落とさないこと。(3)は補集合上の分数関数の最大最小で,直接微分するより,F1/2F1/16 を円の不等式に直すと見通しがよい。等号点が補集合の境界上にあることも確認したい。 問題が求める領域を実際に図示し、境界非包含を破線で明示した。(3) の等号点 (2,0), (4,±43) が補集合の境界上にあることも数値検算済みである。

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出典: 東京大学 2025年度 第2次学力試験 数学(理系)公式問題(大学公式の問題PDF(14ページ))。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。