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東京大学 2026年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第5問

複素数平面上で,原点を中心とする半径 1 の円を C とする。複素数 αC 上の点 P(z) に対してw=(zα)3で定まる点 Q(w) の軌跡を D とする。

(1) α=3 とする。θ=argw とするとき,sinθ のとりうる値の範囲を求めよ。

(2) α が動くとき,D が正の実軸および負の実軸の両方と共有点をもつような点 R(α) の存在範囲の面積を求めよ。

難易度8/ 10計算量6/ 10目安25

複素数平面三角関数図形と方程式積分 複素数の極形式、範囲評価、軌跡対称性の利用定積分評価

方針

w=(zα)3 により zα の偏角が3倍されることを使う。(1)は点 3 から単位円を見込む半角を、その正弦が 1/3 となる角として定め、偏角の範囲を3倍して正弦を評価する。(2)は正実軸・負実軸に移る6方向を π/3 間隔で並べる。r>1 では点 α から単位円を見込む半角 γ=γ(r)0<γ<π/2sinγ=1/r で定め、その中に異種の隣接2方向が入る条件を数える。r=1 の境界を別に確認し、許容される偏角の全幅を極座標で積分する。

解答

(1) α=3 であるから w=(z+3)3 である。z が原点中心,半径1の円上を動くとき,z+3 は点 3 から単位円上の点へ向かうベクトルを表す。

このベクトルの偏角を φ とする。点 3 から単位円へ引いた接線と、点 3 から原点へ向かう直線のなす角を φ0 とする。接点でできる直角三角形より0<φ0<π2,sinφ0=13であり、動径の偏角はφ0φφ0を動く。また sinφ0=1/3<1/2=sin(π/6) なので、正弦の単調性から φ0<π/6、したがって 3φ0<π/2 である。

w=(z+3)3 なので、w の偏角 θθ=3φ と表される。上の範囲では sinθθ について単調増加するから、最大値は φ=φ0 のとき、最小値は φ=φ0 のときに得られる。3倍角の公式よりsin3φ0=3sinφ04sin3φ0=1427=2327.したがって求める範囲は2327sinθ2327である。

(2) w=(zα)3 である。w が正の実軸上にあるためには,zα の偏角が 0,2π3,4π3 のいずれかであればよい。また,w が負の実軸上にあるためには,zα の偏角が π3,π,5π3 のいずれかであればよい。つまり,π/3 刻みの6方向が,正実軸に対応する方向と負実軸に対応する方向に交互に分かれている。

α の原点からの距離を r=α とする。0r<1 では α は単位円の内部にあるので,任意の方向の半直線が単位円と共有点をもつ。r=1 では z=α が与える w=0 は実軸の正負いずれの部分にも含まれないが,α から円上の他の点へ向かう方向全体は開いた半円をなす。長さ π のこの区間には,π/3 間隔で交互に並ぶ6方向のうち隣り合う2方向が必ず含まれるので,正の部分と負の部分の双方に共有点をもつ。したがって 0r1 はすべて条件を満たす。

以下 r>1 とする。点 α から単位円を見込む方向は、原点へ向かう方向を中心とする角の範囲である。その半角を γ=γ(r) とすると、接点でできる直角三角形より0<γ(r)<π2,sinγ(r)=1rである。

条件を満たすには,この見込み角の中に,正実軸に対応する方向と負実軸に対応する方向が少なくとも1つずつ入ればよい。6方向は π/3 間隔で交互に並ぶので,これは見込み角が隣り合う2方向を含むことと同値である。

隣り合う2方向の中点は6個あり,それらも π/3 間隔で並ぶ。1組の隣り合う2方向を両方含むためには,見込み角の中心方向がその中点から γπ6 以内にあればよい。したがって γ<π/6,すなわち r>2 では条件を満たさない。

また γπ/3,すなわち r23 では,どの中心方向でも条件を満たす。π/6γ<π/3,すなわち 23<r2 では,許される中心方向の全幅は 6(2γπ3)=12γ(r)2π である。

よって,求める面積 A は極座標でA=π(23)2+2/32(12γ(r)2π)rdrである。

ここでJ=2/32rγ(r)drとおく。sinγ=1/r より r=1/sinγ と変数を替える。r=2/3,2 はそれぞれ γ=π/3,π/6 に対応し、dr=cosγsin2γdγであるからJ=π/6π/3γcosγsin3γdγ.部分積分によりJ=[γ2sin2γ]π/6π/3+12π/6π/3dγsin2γ=π9+12[cosγsinγ]π/6π/3=π9+13.したがってA=4π3+12(π9+13)2π12(443)である。これを整理すると A=4π3+4π3+438π3=43 となる。よって求める面積は 43 である。

総評

難度8/10、計算量6/10。想定時間は25分。3乗写像で偏角が3倍されることから、実軸の正負との共有を π/3 刻みで交互に並ぶ6方向へ翻訳するのが核心である。(2)では点 α から単位円を見込む半角 γ(r)0<γ(r)<π/2sinγ(r)=1/r で定め、隣り合う異種の2方向を同時に含む中心方向の幅を数える。採点上は r=1 の境界でも条件が成立する理由、r2/3 では全偏角が許され、2/3<r2 では許容角が 12γ(r)2π となることを明示したい。典型的な失点は「実軸の正の部分・負の部分」に原点を含めることと、6区間が重なる境界を誤ることである。別解として6本の半直線と円の交点条件を座標で書けるが、場合分けが増えるため偏角法が優れる。面積積分は r=1/sinγ と置けば高校数学の三角置換で計算でき、最後に π 項が相殺する。

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出典: 東京大学 2026年度 第2次学力試験 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。