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東京大学 2019年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第6問

複素数αβγδおよび実数abが,
次の3条件をみたしながら動く。

条件1:αβγδは相異なる。

条件2:αβγδは4次方程式z42z32az+b=0の解である。

条件3:複素数αβ+γδの実部は0であり,虚部は0でない。

(1) αβγδのうち,
ちょうど2つが実数であり,残りの2つは互いに共役な複素数であることを示せ。

(2) baで表せ。

(3) 複素数α+βがとりうる範囲を複素数平面上に図示せよ。

難易度8/ 10計算量7/ 10目安35

複素数平面方程式・不等式論証・証明 解と係数の関係、実部虚部比較、場合分け、軌跡図形的解釈

方針

係数が実数であることから、非実数解は共役な組で現れる。条件3では αβ+γδ が純虚数で0でないため、4根がすべて実数の場合も、非実数根が2組だけの場合も除外される。そこで実根を x,y、非実根を u±vi と置く。条件3が成り立つには実根と非実根が組になっていなければならないので、実部・虚部を比較して u(x+y)=0xy を得る。あとは解と係数の関係を u=0x+y=0 の2場合に分けて使い、どちらも b=a2 に帰着させる。最後は α+β が「実根1つ + 非実根1つ」であることを用いて、双曲線 (X1)2Y2=1 を導く。

解答

(1)
方程式 z42z32az+b=0 の係数はすべて実数である。したがって、実数でない解があれば、その共役複素数も解である。

4つの解がすべて実数であるとすると、αβ+γδ は実数になり、条件3の「虚部は0でない」に反する。

次に、4つの解がすべて実数でないとする。このとき解は2組の共役複素数 u+vi, uvi, s+ti, sti の形である。共役な2つを同じ組にすれば積は実数であり、交差して組にしても、例えば (u+vi)(s+ti)+(uvi)(sti)=2(usvt) のように和は実数になる。したがって、どのように2つずつ組にしても αβ+γδ は実数となり、条件3に反する。

よって4つの解のうち、ちょうど2つが実数であり、残りの2つは互いに共役な複素数である。

(2)
実数解を x,y、実数でない解を u+vi,uvi とおく。ただし v0 である。

条件3より、αβγδ はそれぞれ実根と非実根の積でなければならない。もし実根どうし、非実根どうしを掛ける組があれば、和は実数になってしまうからである。したがって、必要なら文字を入れ替えて α=x,β=u+vi,γ=y,δ=uvi としてよい。このとき αβ+γδ=x(u+vi)+y(uvi)=u(x+y)+v(xy)i である。条件3から実部は0、虚部は0でないので u(x+y)=0,xy を得る。

解と係数の関係より x+y+2u=2 であり、2つずつの積の和は0だから xy+2u(x+y)+u2+v2=0 である。また3つずつの積の和は 2a であり、4つの積は b である。

まず u=0 の場合を考える。このとき x+y=2 であり、2つずつの積の関係から xy+v2=0 である。3つずつの積の和は xy(u+vi)+xy(uvi)+x(u2+v2)+y(u2+v2) であり、u=0x+y=2 を代入すると 2a=2v2 となる。したがって a=v2 である。また b=xy(u2+v2)=xyv2=v4 なので b=a2 である。

次に x+y=0 の場合を考える。x+y+2u=2 より u=1 である。2つずつの積の関係から xy+1+v2=0 すなわち xy=(1+v2) である。3つずつの積の和は、x+y=0u=1 を用いると 2a=2xy となるので a=xy=(1+v2) である。また b=xy(u2+v2)=xy(1+v2)=(1+v2)2 だから、この場合も b=a2 である。

以上より b=a2 である。

(3)
条件3のもとで、αβ は実根1つと非実根1つの組である。そこで w=α+β=X+Yi とおく。上の記号では、w=x+u+vi と書ける。ここで v0 だから Y0 である。 u=0 の場合、x+y=2xy=v2 である。したがって x,yT22Tv2=0 の2解であり x=1±1+v2 である。このとき w=1±1+v2+vi となる。 x+y=0 の場合は u=1xy=(1+v2) である。したがって x=±1+v2 であり、このときも w=1±1+v2+vi と書ける。

よって、w=X+Yi の満たす条件は X=1±1+Y2,Y0 である。これは (X1)2Y2=1,Y0 を満たす点全体である。

したがって、複素数平面上では中心を 1 だけ右へ移した双曲線 (X1)2Y2=1 の2つの枝から、実軸上の2点 02 を除いた部分が求める範囲である。

別解

解法2

方針

実根2個と共役な非実根2個に分類し、解と係数の関係から b=a2 を得る。その後4次式を2つの2次式に因数分解し、根を明示して α+β の軌跡を読む。

解答

(1)
係数が実数なので非実根は共役な組で現れる。4根がすべて実数なら αβ+γδ は実数である。2組の共役な非実根だけからなる場合も、どの組分けでも2つの積の和は実数になる。条件3に反するから、実根が2個、共役な非実根が2個である。

(2)
実根を x,y、非実根を u±vi とする。条件3を満たす組分けではαβ+γδ=u(x+y)+v(xy)i.したがって u(x+y)=0 かつ xy である。解と係数の関係x+y+2u=2,xy+2u(x+y)+u2+v2=0を用いる。u=0 のときは x+y=2xy=v2a=v2 となり b=xyv2=a2 である。x+y=0 のときは u=1xy=(1+v2)=a となり、やはり b=xy(1+v2)=a2 である。

(3)
(2)から4次式はz42z32aza2=(z2+a)(z22za)と因数分解できる。a>0 では根は±ia,1±1+a,a<1 では根は±a,1±i1a.a=0,1 は相異なる4根という条件を満たさない。条件3の組では実根1個と非実根1個を足すので、w=α+β=X+Yi はいずれの場合もX=1±1+Y2,Y0.したがって軌跡は(X1)2Y2=1,Y0であり、双曲線から実軸上の2点 0,2 を除いた部分である。

総評

難度8、目安時間35分。条件3が根の並べ方に関わるため、ただVietaを並べるだけでは整理しにくい。最初に「非実根は共役」「条件3の和が非実数なので、実根と非実根を掛ける組しかない」と見抜くことが核心である。(2)では u(x+y)=0 から2場合に分かれるが、どちらも解と係数の関係を丁寧に代入すれば b=a2 にそろう。(3)はラベルに惑わされず、α+β が実根1つと非実根1つの和になることを使えば、範囲は双曲線としてきれいに表せる。実軸上の2点を除く条件 Y0 を忘れないこと。

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出典: 東京大学 2019年度 第2次学力試験 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。