方針
(1) は垂直二等分線を∣z∣=∣z−α∣と表し,展開してからz=1/wを代入する。両辺に∣w∣2をかけるとwの円の方程式になり,w=0だけは対応するzがないので除く。(2)ではβ,β2を具体的に書き,線分が直線Rez=−1/2上の有限部分であることを使う。これはα=−1の垂直二等分線なので,対応する円∣w+1∣=1のうち,端点と中点の像から左側の弧を選ぶ。
解答
(1)
点zが,原点Oと点αを結ぶ線分の垂直二等分線L上にあることは ∣z∣=∣z−α∣ と表せる。両辺を2乗して整理すると zzˉ=(z−α)(zˉ−αˉ) より αˉz+αzˉ=∣α∣2 である。 w=1/zなのでz=1/wであり,w=0である。これを代入すると wαˉ+wˉα=∣α∣2 である。両辺に∣w∣2=wwˉをかけると αˉwˉ+αw=∣α∣2∣w∣2 を得る。これを平方完成すると w−α12=∣α∣21 である。
したがって円の中心は α1 半径は ∣α∣1 である。ただしw=0はどの有限のzにも対応しないので,この円から点0を除いたものが軌跡である。
(2)
1の3乗根のうち虚部が正であるものは β=−21+23i であり,β2=−21−23i である。したがって線分ββ2は,直線 Rez=−21 上で −23≦Imz≦23 を満たす部分である。
この直線は,原点と点−1を結ぶ線分の垂直二等分線である。よって(1)でα=−1とした円 ∣w+1∣=1 上に移る。
あとは,線分のどの部分に対応する弧かを確認する。端点ではz=β⇒w=β1=β2,z=β2⇒w=β21=βである。また線分の中点z=−1/2では w=−2 である。したがって軌跡は,円∣w+1∣=1のうち,βとβ2を結び,点−2を通る弧である。
すなわち ∣w+1∣=1,Rew≦−21 を満たす部分であり,両端w=β,β2を含む。
別解
解法2
方針
(1) はα=A+Bi,w=u+viと成分表示し,反転後の方程式を円の標準形にする。(2)は線分をz=−1/2+tiと媒介し,w=1/zの実部・虚部から円と弧の範囲を直接決める。
解答
(1) α=A+Bi,w=u+viとおく。垂直二等分線の条件は∣z∣=∣z−α∣であり,整理するとαˉz+αzˉ=∣α∣2となる。z=1/wを代入し,両辺に∣w∣2を掛けるとαw+αˉwˉ=∣α∣2∣w∣2.成分で書けば(A2+B2)(u2+v2)−2(Au−Bv)=0.よって(u−A2+B2A)2+(v+A2+B2B)2=A2+B21.したがって中心は複素数1/αが表す点,半径は1/∣α∣である。ただしw=0はz=1/wに対応しないので除く。
(2) 線分ββ2はz=−21+ti,−23≦t≦23と表せる。したがってw=z1=41+t2−21−ti.w=u+viとするとu=−2(41+t2)1,v=−41+t2t.これらから(u+1)2+v2=1,−2≦u≦−21を得る。よって軌跡は円∣w+1∣=1のうちRew≦−1/2の弧で,両端β,β2を含む。
総評
難度6,計算量5。目安時間は20分。反転w=1/zで直線が円に移る事実を暗記で使うのではなく,∣z∣=∣z−α∣から直接導く問題である。中心が1/αか1/αˉかを取り違えやすいので,平方完成の係数を丁寧に確認したい。(2)では全直線ではなく線分なので,端点と中点の像を調べて,円の左右どちらの弧かを決めるのが安全である。
冊子PDFで見る東大の複素数平面の問題で問題集を作る
出典: 東京大学 2017年度 前期日程 数学(理科)第3問(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。