Evolton

北海道大学 1982年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第2問

a+b=c+d を満たす行列(abcd)全体の集合を R とする。ただし a,b,c,d は実数とする。

(1) A,BR のとき、ABR であることを示せ。

(2) A=(abcd)R とする。b0 または c0 のとき、Au=kuを満たす実数 k と単位ベクトル u の組をすべて求めよ。

難易度6/ 10計算量5/ 10目安27

行列ベクトル 必要十分条件、展開・因数分解、ベクトル成分計算

方針

(1)a+b=c+d を「(1,1)T が同じ向きに移る」という形で表すと、積について閉じていることが短く示せる。(2) は Au=ku を満たす非零ベクトルの方向をすべて求める問題である。まず (1,1)T が必ず1つの方向を与える。残りについては AkI の成分条件を使い、可能な ka+bac に限られることを示す。最後に単位ベクトルへ正規化し、b=c のとき2つの表示が重なることを明記する。

解答

(1) e=(1,1)T とおく。AR であることは、ある実数 s により Ae=se と書けることと同値である。Ae=se, Be=te ならABe=A(te)=steだから ABR である。

(2) d=a+bc である。まずA(11)=(a+b)(11)より、k=a+b, u=±21/2(1,1)T を得る。

全解性を確認する。A(p,q)T=k(p,q)T が非零解をもつには0=det(AkE)=(ak)(a+bck)bc=(kab)(ka+c)である。したがって k=a+b または k=ac に限られる。前者では bp+bq=0, cpcq=0 であり、b0 または c0 だから p=q となる。後者では cp+bq=0 だから、方向は (p,q)=(b,c) である。実際、d=a+bc を用いるとA(bc)=(ac)(bc).よって求める組は(a+b, ±12(11)),(ac, ±1b2+c2(bc)).ただし b=c のときは2つの表示が同じ組を与えるので、重複は1回だけ数える。

別解

解法2(方向成分の因数分解)

方針

(1) はベクトル (1,1)T の像で閉性を示す。(2)は A(p,q)T(p,q)T が平行である条件を1本の積に因数分解し、可能な2方向を直接取り出す。

解答

(1)
e=(1,1)T とする。AR であることは、ある実数 s によりAe=seと書けることと同値である。Ae=seBe=te ならABe=ste,よって ABR である。

(2)
d=a+bc である。u=(p,q)T0 とし、Auu と平行である条件を成分で表すと(ap+bq)q(cp+dq)p=0.d=a+bc を代入して整理すると(qp)(bq+cp)=0.したがって方向は q=p または bq+cp=0 である。

前者からk=a+b,u=±12(11).後者の方向は (p,q)=(b,c) だからk=ac,u=±1b2+c2(bc).b=c のときは2方向が一致するため、同じ組は1回だけ数える。

総評

行列集合の積に関する閉性と、特別な2方向を求める問題。目安27分。原問題が行列を明示するため行列を使用した。重解 b=c のとき同じ組を重複して数えないことまで確認した。

冊子PDFで見る北大の行列の問題で問題集を作る

出典: 北海道大学 1982年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。