方針
t=tanθ と置いて、E−X の逆行列を直接計算する。−π/2<θ<π/2 なので t は実数であり、1+t2>0 だから逆行列は常に存在する。積を計算した後、倍角公式 cos2θ=(1−t2)/(1+t2)、sin2θ=2t/(1+t2) に直すと、標準的な回転行列になる。
解答
t=tanθ とおく。−π/2<θ<π/2 であるから t は実数であり、1+t2>0 である。
このときE+X=(1t−t1),E−X=(1−tt1)である。E−X の行列式は 1+t2 であるから、逆行列は(E−X)−1=1+t21(1t−t1)である。
したがって(E+X)(E−X)−1=1+t21(1t−t1)(1t−t1)である。積を計算すると(E+X)(E−X)−1=1+t21(1−t22t−2t1−t2)となる。
ここで t=tanθ だから、倍角公式より 1+t21−t2=cos2θ,1+t22t=sin2θ である。よって(E+X)(E−X)−1=(cos2θsin2θ−sin2θcos2θ)である。
これは原点を中心として角 2θ だけ回転する1次変換を表す行列である。したがって求める回転角は 2θ である。
別解
解法2(点の像から回転を確認)
方針
(E−X)(u,v)=(x,y) を解き、続けて E+X を作用させて点の像を求める。像の座標を倍角公式で整理し、長さと向きから回転角を確認する。
解答
任意の点 (x,y) に対し(E−X)(uv)=(xy)を解く。t=tanθ と置けばu=1+t2x−ty,v=1+t2tx+y.次に E+X を作用させた像を (X,Y) とするとXY=u−tv=1+t2(1−t2)x−2ty,=tu+v=1+t22tx+(1−t2)y.倍角公式よりX=xcos2θ−ysin2θ,Y=xsin2θ+ycos2θ.これは各点を原点のまわりに角 2θ だけ回転した座標である。したがって求める変換は原点中心の回転で、回転角は 2θ である。
総評
行列の分数式と回転行列を結ぶ問題で、目安は15分。逆行列の係数と積の符号を丁寧に計算し、tanの倍角公式からcos2θとsin2θを同時に確認する。問題文が行列を明示するため行列の使用は適切である。
冊子PDFで見る北大の行列の問題で問題集を作る
出典: 北海道大学 1986年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。