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北海道大学 1987年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第2問

平面上に2直線l1:ycosαxsinα=0,l2:ycosβxsinβ=0が与えられている.
直線l1l2に関する対称移動を表す行列をそれぞれABとする.

(1) 行列Aを求めよ.

(2) αβ=θとおくとき,
ABθを用いて表せ.

(3) (AB)2=BAを満たすθの値を求めよ.
ただし,0<θ<πとする.

難易度6/ 10計算量6/ 10目安20

行列三角関数図形と方程式 回転・拡大ベクトル成分計算三角比の利用

方針

直線 l1 は原点を通り、x 軸となす角が α の直線である。反射は、直線方向成分をそのまま残し、垂直方向成分の符号を変える変換として成分表示から行列を作る。反射を2回合成すると回転になるので、AB は角 2(αβ) の回転、BA は角 2(αβ) の回転として読む。(3)は回転角の一致条件から 4θ2θ を解く。

解答

(1)
直線 ycosαxsinα=0 は、y=xtanα と書けるので、原点を通り x 軸の正の向きとなす角が α の直線である。この直線方向の単位ベクトルを (cosα,sinα) とし、それに垂直な単位ベクトルを (sinα,cosα) とする。

(x,y) をこの2方向に分けると、直線方向の成分はそのまま、垂直方向の成分は符号が反転する。計算すると、反射後の座標 (X,Y)X=xcos2α+ysin2α, Y=xsin2αycos2α となる。したがって行列 A は、第1行が (cos2α,sin2α) 第2行が (sin2α,cos2α) の行列である。

(2)
同様に、l2 に関する対称移動を表す行列 B は、第1行が (cos2β,sin2β) 第2行が (sin2β,cos2β) の行列である。

AB の各成分を計算する。第1行第1列成分は cos2αcos2β+sin2αsin2β=cos2(αβ) である。第1行第2列成分は cos2αsin2βsin2αcos2β=sin2(αβ) である。同様に、第2行第1列成分は sin2(αβ)、第2行第2列成分は cos2(αβ) となる。 θ=αβ より、AB は第1行が (cos2θ,sin2θ) 第2行が (sin2θ,cos2θ) の行列である。これは角 2θ の回転を表す行列である。

(3)
(2)より AB は角 2θ の回転であるから、(AB)2 は角 4θ の回転である。また順序を逆にした BA は角 2θ の回転である。

したがって (AB)2=BA が成り立つためには、2つの回転角が 2π の整数倍だけ異なればよい。すなわち 4θ(2θ)=2kπ であり、6θ=2kπ となる。よって θ=kπ3 である。条件 0<θ<π より k=1,2 だから θ=π3,θ=2π3 である。

別解

解法2:回転で座標軸へ移して反射を合成する

方針

α の直線をいったん x 軸へ回し、x 軸対称に移してから元へ戻す三段階で反射を表す。これにより A=R(α)DR(α) と分解できる。二つの反射の積では DR(γ)D=R(γ) を使って回転を一つにまとめ、最後は回転角を 2π の整数倍まで含めて比較する。

解答

(1)
ϕ の回転を表す行列をR(ϕ)=(cosϕsinϕsinϕcosϕ),D=(1001)とする。角 α の直線に関する対称移動は、角 α 回転してその直線を x 軸に重ね、Dx 軸対称に移し、角 α 回転して戻す変換である。したがってA=R(α)DR(α)=(cos2αsin2αsin2αcos2α).(2)
同様に B=R(β)DR(β) である。またDR(γ)D=R(γ)となるのでAB=R(α)DR(βα)DR(β)=R(α)R(αβ)R(β)=R{2(αβ)}=R(2θ).すなわちAB=(cos2θsin2θsin2θcos2θ).(3)
同じ計算で BA=R(2θ) であり、(AB)2=R(4θ) である。二つの回転が等しいための条件は4θ(2θ)=2kπである。したがって θ=kπ3 となり、0<θ<π よりθ=π3,θ=2π3である。

総評

難度6、計算量6、目安時間20分。原問題が行列による対称移動を明示しているため、反射行列と回転行列を正面から用いる問題である。積 AB は先に B、次に A を施すので、回転角が 2(αβ) になる向きを取り違えやすい。成分積と R(α)DR(α) の分解で符号を相互確認した。最後は回転角の差 6θ2π の整数倍という条件へ整理する。

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出典: 北海道大学 1987年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。