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北海道大学 1985年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第1問

行列A=(abcd)A2+A=E を満たすとする。このとき、2次方程式x2(a+d)x+adbc=0の解の3乗は1となることを示せ。ただし、a,b,c,d は実数とし、E=(1001)とする。

難易度6/ 10計算量4/ 10目安20

行列方程式・不等式複素数平面 恒等式比較、解と係数の関係、式変形

方針

行列方程式を成分で比較し,対角成分と非対角成分の式を取り出す。非対角成分から,もし a+d+10 なら b=c=0 となるが,その場合は実数 aa2+a+1=0 を満たすことになり不可能である。したがって a+d=1 が決まる。さらに対角成分から adbc=1 を示せば,与えられた2次方程式は x2+x+1=0 となり,その解は1でない3乗して1になる数であると分かる。

解答

行列方程式 A2+A=E を成分で比較する。まずA2=(a2+bcab+bdac+cdbc+d2)であるから,A2+A=(a2+bc+ab(a+d+1)c(a+d+1)bc+d2+d)である。これがE=(1001)に等しいので a2+bc+a=1, b(a+d+1)=0,c(a+d+1)=0, d2+bc+d=1 を得る。

ここで,もし a+d+10 であったとする。このとき非対角成分の式から b=0,c=0 である。すると対角成分の式は a2+a=1 すなわち a2+a+1=0 を含む。しかしこの方程式の判別式は 14=3<0 であり,実数 a については成り立たない。したがって a+d+1=0 でなければならない。よって a+d=1 である。

次に d=a1 を用いる。対角成分の式 a2+bc+a=1 から bc=a2a1 である。一方 ad=a(a1)=a2a なので adbc=(a2a)(a2a1)=1 である。

したがって,与えられた2次方程式は x2(a+d)x+adbc=0 であるから x2+x+1=0 となる。この解を ω とする。ω=1 なら左辺は3となるので,ω1 である。また ω2+ω+1=0 を満たすから ω31=(ω1)(ω2+ω+1)=0 である。ω10 なので ω3=1 である。よって,この2次方程式の各解の3乗は1となる。

別解

解法2

方針

2次正方行列について成分計算で確かめられる恒等式を、与えられた行列方程式と比較する。これにより、係数が0でないなら A が実数のスカラー行列になって矛盾することを使い、a+d=1adbc=1 を一度に決める。

解答

2次正方行列 A について、直接成分を計算するとA2(a+d)A+(adbc)E=Oが成り立つ。一方、仮定はA2+A+E=Oである。2式の差を取ると(a+d+1)A=(adbc1)E(1)を得る。

もし a+d+10 なら、(1)より A は実数 r を用いて A=rE と表される。これを A2+A=E に代入するとr2+r+1=0となるが、左辺は(r+12)2+34>0であり矛盾する。したがって a+d+1=0、すなわち a+d=1 である。さらに(1)から (adbc1)E=O となるので adbc=1 である。

よって問題の2次方程式はx2+x+1=0となる。その解 xx1 であり、x31=(x1)(x2+x+1)=0だから x3=1 である。

総評

難易度6、計算量4。想定時間15〜22分。成分比較では非対角成分に共通する a+d+1 を見つけ、0でない場合を仮定して実数条件と矛盾させる。恒等式を使う解法では、2次行列の恒等式を必ず成分計算で確認してから用いる。問題が明示的に行列を扱うため行列計算は適切だが、固有値・行列式による体積など高校範囲外の道具は不要である。最後に x1 を確認してから x31 を因数分解する。

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出典: 北海道大学 1985年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。