方針
条件(イ)は AG=GA を成分比較し、A の形を (a−bba) に絞る。条件(ロ)では f(e) が第1列 (a,−b)T であることを使う。e との角が π/6 なので第1成分は正であり、面積条件から第2成分の絶対値が決まる。最後に b の符号が2通り残ることを確認する。
解答
条件(イ)に出てくる行列をG=(13−31)とおく。条件(イ)は AG=GA である。両辺を成分で計算するとAG=(a+3bc+3d−3a+b−3c+d)であり、GA=(a−3c3a+cb−3d3b+d)である。したがって成分比較より a+3b=a−3c,−3a+b=b−3d などを得る。これらから c=−b,d=a である。よってA=(a−bba)と書ける。
次に条件(ロ)を用いる。e=(1,0)T であるからf(e)=A(10)=(a−b)である。e と f(e) のなす角が π/6 なので、f(e) の第1成分は正であり a>0 である。また、e と f(e) を2辺とする平行四辺形の面積はdet(10a−b)=∣b∣である。これが 2/3 だから ∣b∣=32 である。
さらに、角が π/6 であることから tan6π=a∣b∣ である。したがって 31=a∣b∣ となる。上で求めた ∣b∣=2/3 を代入して a=2 を得る。 b の符号は2通りあるので、求める行列は2−32322,232−322である。
別解
解法2(複素数による回転の解釈)
方針
平面ベクトルを複素数とみなし、g を 1+3i 倍と読む。可換条件から f もある複素数倍となることを示し、角と平行四辺形の高さからその複素数を決める。
解答
平面ベクトル (x,y) を複素数 x+iy とみなす。このとき g は 1+3i を掛ける変換である。
w=f(1) と置く。1 と g(1)=1+3i は実ベクトルとして一次独立である。また f∘g=g∘f よりf(1+3i)=(1+3i)w.したがって任意の実数 r,s に対してf{r+s(1+3i)}=w{r+s(1+3i)}.ゆえに f は複素数 w を掛ける変換である。
1 と w のなす角は π/6 だから、w の偏角は ±π/6 である。平行四辺形の面積は底辺1、高さ ∣w∣sin(π/6) なので∣w∣sin6π=32.よって ∣w∣=4/3 であり、w=2±32i.複素数 α+iβ を掛ける変換の行列は(αβ−βα)だから、求める行列は2−32322,232−322である。
総評
可換な1次変換と幾何条件を組み合わせる問題。目安27分。原問題が行列を明示するため行列を使用した。成分比較と複素数による回転解釈が独立した検算になる。角が向きを指定しないため、符号が2通り残る。
冊子PDFで見る北大の行列の問題で問題集を作る
出典: 北海道大学 1982年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。