方針
接線の傾きは f′(a),切片は f(a)−af′(a) から求める。(2)では f(x) と接線の差を因数分解し,(x−a)2 が常に0以上であることから,残りの一次因子の符号を x≦a 全体で調べる。(3)では,接線と曲線の交点が接点だけになるためには,(2)の因数分解に現れるもう一つの交点が x=a と一致する必要がある。面積は a=2 のときの曲線と接線の差を 0≦x≦2 で積分する。
解答
(1) f(x)=6x2−x3 より f′(x)=12x−3x2 である。したがって接線の傾きは g(a)=f′(a)=12a−3a2 である。
接線は点 (a,f(a)) を通るので y−f(a)=f′(a)(x−a) と書ける。よって切片は h(a)=f(a)−af′(a) であり,h(a)=(6a2−a3)−a(12a−3a2)=2a3−6a2 である。
(2)
接線と曲線の差を計算する。 f(x)−{g(a)x+h(a)}=6x2−x3−(12a−3a2)x−(2a3−6a2) である。これは x=a で接しているため (x−a)2 を因数にもつ。実際に整理すると f(x)−{g(a)x+h(a)}=(x−a)2(6−2a−x) となる。 (x−a)2≧0 であるから,x≦a のすべての x で不等式が成り立つためには 6−2a−x≧0(x≦a) であればよい。左辺 6−2a−x は x が大きいほど小さいので,x≦a で最小になるのは x=a のときである。したがって 6−3a≧0 が必要十分である。よって a≦2 である。
(3)
接線と曲線の共有点は (x−a)2(6−2a−x)=0 から決まる。接点 x=a 以外の共有点をもたないためには 6−2a=a でなければならない。したがって a=2 である。
このとき g(2)=12,h(2)=−8 なので,接線は y=12x−8 である。曲線との差は f(x)−(12x−8)=−(x−2)3 である。0≦x≦2 ではこの値は0以上であり,y 軸,曲線,接線で囲まれる図形はこの区間にある。よって面積は ∫02{f(x)−(12x−8)}dx=∫02−(x−2)3dx である。計算して [−4(x−2)4]02=4 を得る。求める面積は 4 である。
別解
解法2(接点まわりの展開)
方針
三次式なので、x=a+uと置けば接線との差をuの式として正確に展開できる。(2)はu≦0での符号、(3)は接点の重なりが三重になる条件から決め、面積もu=2−xで一度に積分する。
解答
(1) f′(x)=12x−3x2よりg(a)=12a−3a2.またh(a)=f(a)−af′(a)だからh(a)=2a3−6a2.(2)
x=a+uと置く。三次式を展開するとf(a+u)=f(a)+f′(a)u+(6−3a)u2−u3.初めの2項は接線の値なので、曲線と接線の差はu2(6−3a−u)である。x≦aはu≦0に対応する。この範囲で差が常に0以上となるための必要十分条件は、最大のu=0で6−3a≧0となることである。したがってa≦2.(3)
接線と曲線の共有点はu2(6−3a−u)=0から決まる。接点u=0以外の共有点をもたないためには、残る根u=6−3aも0でなければならない。よってa=2.このとき接線はy=12x−8で、曲線との差はf(x)−(12x−8)=(2−x)3.囲まれた部分は0≦x≦2にあるから、面積はS=∫02(2−x)3dx=[−4(2−x)4]02=4.したがって求める面積は4である。
総評
三次関数と接線の位置関係を,接線との差の因数分解で処理する問題である。目安時間は20分。(2)では差が (x−a)2(6−2a−x) となるため,二重因子ではなく残りの一次因子の符号だけを見ればよい。x≦a という範囲条件の端 x=a を確認するのが要点である。(3)では接点以外の交点 x=6−2a を接点に重ねる発想が必要で,面積計算では 0 から 2 まで曲線が接線の上にあることを確認してから積分すると安全である。 2解法の結論を相互照合し、条件範囲、端点、等号条件、符号を確認した。 図は立式の対応関係を示すための解説図であり、数値結論には依存しない。
冊子PDFで見る北大の微分の問題で問題集を作る
出典: 北海道大学 1992年度 前期 第4問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。