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北海道大学 1995年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第1問

1次変換fは点(1,2)を点P(a,1a)に移す.
また点(2,1)の像をQとするとき,
POQは直角で,
線分OPOQの長さは等しいとする.
このとき,次の問に答えよ.

(1) fを表す行列Aaを用いて表せ.

(2) fが回転となるとき,Aを定めよ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

行列ベクトル ベクトル成分計算内積の利用、場合分け

方針

まず P=(a,1a) と同じ長さで直交する Q を2通りに絞る.次に,(1,2)(2,1) を列にもつ行列の逆行列を使って,それぞれの Q に対応する1次変換の行列を求める.回転であるためには,長さを保ち向きも保つ場合だけを残す.

解答

(1,2)(2,1) は直交し,長さはいずれも 5 である.いま P=(a,1a) である.QP と同じ長さで P に直交するので,P を直角に回した2通り Q=(a1,a),Q=(1a,a) のいずれかである.

(1) BB=(1221)とおくと,A(1,2)T=PTA(2,1)T=QTAB=(PQ)と書ける.ここでB1=15(1221)である.

まず Q=(a1,a) のときA=(aa11aa)15(1221)=(2a53a1513a52a5)である.
次に Q=(1a,a) のときA=(a1a1aa)15(1221)=(3a25a+15a+1523a5)である.

(2) 回転は長さを変えず,向きも保つ変換である.上の2通りのうち,Q=(a1,a)(1,2),(2,1) の向きと P,Q の向きが同じ場合であり,回転になりうる.一方 Q=(1a,a) は向きが反対になるので,回転ではない.

したがって第1の行列について,(1,2) の長さ 5P の長さが等しい条件を課せばよい. P2=a2+(1a)2=2a22a+1 であるから 2a22a+1=5 すなわち a2a2=0 である.よって a=1,2 となる.これらを第1の行列に代入して(35454535),(0110)を得る.

直交する基底とその像

別解

解法2

方針

平面を複素数平面とみなし,(1,2)(2,1)90 回転で移り合うことを使う.向きを保つ場合は複素数の掛け算,反転する場合は共役を含む掛け算として2族の行列を得る.

解答

ベクトル (x,y) を複素数 z=x+iy と同一視する.u=1+2i,iu=2+iだから,問題で与えられた2本の入力ベクトルは正の向きに 90 回転して移り合う.
またw=a+(1a)iP に対応する複素数とする.

(1)

QP と直交し同じ長さなので,対応する複素数は iw または iw である.

まず uw, iuiw の場合,変換は zczc=wu=a+(1a)i1+2i=2a5+13a5i.複素数 r+si を掛ける行列は(rssr)なのでA=(2a53a1513a52a5).次に uw, iuiw の場合,向きを反転する実線形変換であり
zcz と書ける.cu=w からc=wu=3a25+a+15i.z(r+si)z の行列は(rssr)だからA=(3a25a+15a+1523a5).(2)

回転は第1の族に限られ,さらに c=1,すなわち w=u=5 が必要十分である.a2+(1a)2=5を解くと a=1,2.したがってA=(35454535),A=(0110).

総評

難度は10段階中6,計算量は10段階中5.条件から Q を2通りに絞るところまでは図形的な考察であり,その後は基準となる2本のベクトルの像を列として行列を組み立てる計算である.(2) では「直交して同じ長さ」だけでは回転とは限らず,向きが反対になる場合は除く必要がある.ここを言葉で補うと,2つの候補行列から第1の族だけを選ぶ理由が明確になる.

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出典: 北海道大学 1995年度 前期 理系 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。