方針
0≦a<1 では x−a が 1 をまたぐので、x=a+1 を境に log(x−a) の符号を分ける。変数変換 u=x−a で積分区間を [1−a,1]、[1,2−a] に直し、端点だけが a に依存する形で微分する。臨界点は (1−a)(2−a)=1 で、凸性と端点の符号から最小値を与えることを確認する。
解答
0≦a<1 では、1≦x≦2 に対して x−a>0 である。また log(x−a)=0 となるのは x=a+1 であり、a+1 は区間 [1,2) に入る。したがって、u=x−a とおくとF(a)=∫1−a1−logudu+∫12−aloguduである。
この式を a で微分すると、端点の変化だけを考えて F′(a)=−log(1−a)−log(2−a)=−log{(1−a)(2−a)} となる。さらに F′′(a)=1−a1+2−a1>0 であるから、F(a) は 0≦a<1 で下に凸である。
最小を与える点は F′(a)=0 を満たす。すなわち (1−a)(2−a)=1 である。これを解くと a2−3a+1=0 より a=23±5 である。範囲 0≦a<1 に入るのは a=23−5 だけである。
このとき 1−a=25−1,2−a=25+1 であり、両者の積は 1 である。r=1−a、s=2−a とおくと、rs=1、s−r=1、r+s=5 である。よってF(a)=∫r1−logudu+∫1slogudu=(1+rlogr−r)+(slogs−s+1)=2−(r+s)+rlogr+slogs.ここで r=1/s だから logr=−logs であり、rlogr+slogs=(s−r)logs=logs. したがって最小値は 2−5+log21+5 である。
絶対値で分かれる積分区間
別解
解法2
方針
r=1−a と置いて、長さ1の区間 [r,r+1] 上で∣logu∣ を積分する問題に直す。積分を明示的に計算し、端点の積 r(r+1) が1となる点で増減が変わることを見る。
解答
r=1−a とおくと 0<r≦1 であり、u=x−a によりF(a)=∫rr+1∣logu∣du.r≦1≦r+1 だからF(a)=−∫r1logudu+∫1r+1logudu=1−2r+rlogr+(r+1)log(r+1).右辺を G(r) とおくとG′(r)=log{r(r+1)}.r(r+1) は r>0 で単調増加するので、r(r+1)=1を境に G′ は負から正へ変わる。したがって最小点はr=25−1,a=1−r=23−5.s=r+1=(1+5)/2 とおくと rs=1、s−r=1、
r+s=5 である。よってFmin=2−(r+s)+rlogr+slogs=2−5+(s−r)logs=2−5+log21+5.
総評
難度は10段階中6、計算量は10段階中5。絶対値つき積分なので、まず x=a+1 で符号を分けることが必須である。微分後の条件 (1−a)(2−a)=1 までは短いが、最小値の代入計算で 1−a と 2−a の和・差・積を整理しないと式が崩れやすい。想定時間は10分程度。F′′(a)>0 を書いておくと、臨界点が最小であることを安心して結論できる。
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出典: 北海道大学 1996年度 前期 理系 第5問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。