方針
(1) は部分分数分解する。(2)は有限等比和から
余り項を含む恒等式を作って積分する。(3)は ∣a∣<1 を用いて
余り積分を0へ押さえ、有限和の極限を取る。
解答
(1)
部分分数分解により1−x21=21(1+x1+1−x1)だから∫0a1−x21dx=21log1−a1+a.(2)
有限等比和から1−x21=k=0∑nx2k+1−x2x2n+2.両辺を 0 から a まで積分し、(1)を用いると21log1−a1+a=k=0∑n2k+1a2k+1+∫0a1−x2x2n+2dx.移項すれば示す等式を得る。
(3)
∣x∣≦∣a∣ では 1−x2≧1−a2>0 なので∫0a1−x2x2n+2dx≦(1−a2)(2n+3)∣a∣2n+3⟶0.したがって(2)で n→∞ とすればlog1−a1+a=2k=0∑∞2k+1a2k+1.
別解
解法2(積分の漸化式)
方針
指数を2ずつ下げる恒等式から余り積分の漸化式を作る。
これを繰り返して有限和を得た後、余りを評価して無限級数へ移る。
解答
(1) 1−x21=21(1+x1+1−x1)より∫0a1−x21dx=21log1−a1+a.(2)1−x2x2m+2=1−x2x2m−x2mである。両辺を積分しIm:=∫0a1−x2x2m+2dxとおくとIm=Im−1−2m+1a2m+1.ここでI−1=∫0a1−x21dx=21log1−a1+a.m=0,1,…,n と順に用いればIn=21log1−a1+a−k=0∑n2k+1a2k+1.(3)
0≦x≦∣a∣ では 1−x2≧1−a2 なので∣In∣≦1−a21∫0∣a∣x2n+2dx=(1−a2)(2n+3)∣a∣2n+3.∣a∣<1 より右辺は0へ収束する。(2)で n→∞ とするとlog1−a1+a=2k=0∑∞2k+1a2k+1.
総評
難度6、計算量5。無限級数の形に目が行きやすいが、中心は有限和の恒等式と余り項の評価である。採点上は、(2)でいきなり無限級数にせず、x2n+2/(1−x2) を残した等式を作ることが重要である。(3)では ∣a∣<1 を使って余りの積分が0へ行くことを明示する。目安は18分程度。 2つの解法は、答案で採用しやすい標準手順と、構造を見抜いて短く処理する手順を分けて示した。式変形の根拠、等号条件、必要性と十分性を省略せず、積分・総和・極限および主要な分数は読みやすい表示形式に統一した。
冊子PDFで見る北大の積分の問題で問題集を作る
出典: 北海道大学 2001年度 前期 数学 第4問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。