Evolton

北海道大学 2008年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第2問

nを自然数とし,
2次正方行列A=(2112)に対して,
An乗をAn=(anbncndn)と表す.

(1) an=dnbn=cnを示せ.

(2) nが奇数ならばanは偶数であること,
および,nが偶数ならばanは奇数であることを示せ.

難易度5/ 10計算量4/ 10目安18

行列整数 数学的帰納法、偶奇性、漸化式の変形

方針

(1)An が対称で対角成分が等しい形を保つことを数学的帰納法で示す。(2)は An+1=AnA から an+1,bn+1 の漸化式を作り,2で割った余りが毎回入れ替わることを追う。別解として,an+bnanbn を考えると an=(3n+1)/2 まで出せるので,4で割った余りから偶奇を直接判定できる。

解答

(1) n=1 のときA=(2112)であるから a1=d1=2,b1=c1=1 であり,主張は成り立つ。

ある自然数 nAn=(anbnbnan)と書けると仮定する。このときAn+1=AnA=(anbnbnan)(2112)=(2an+bnan+2bnan+2bn2an+bn)である。したがって An+1 でも対角成分は等しく,また対角でない2成分も等しい。よって数学的帰納法により,すべての自然数 n について an=dn,bn=cn である。

(2)
(1)の計算から an+1=2an+bn,bn+1=an+2bn である。これを2で割った余りで見ると an+1bn(mod2),bn+1an(mod2) である。 n=1 では a1=2,b1=1 なので,a1 は偶数,b1 は奇数である。上の合同式より,n が1増えるたびに anbn の偶奇は入れ替わる。したがって n が奇数ならば an は偶数,n が偶数ならば an は奇数 である。

別解

解法2(固有方向から一般項を出す方法)

方針

2本の列ベクトル (1,1)T(1,1)T に対する A の作用を直接調べる。An が両ベクトルへどう作用するかを成分で比較すると、4成分の一般項が一度に求まり、対称性と偶奇が同時に従う。

解答

(1)

列ベクトルu=(11),v=(11)を考える。直接計算するとAu=3u,Av=vである。したがって、数学的帰納法によりAnu=3nu,Anv=vとなる。

一方、An=(anbncndn)と書けばan+bn=3n,cn+dn=3n,anbn=1,cndn=1である。これらを解くとan=dn=3n+12,bn=cn=3n12を得る。これで(1)が示された。

(2)

さらに、n が奇数なら 3n3(mod4) なので 3n+1 は4の倍数であり、an は偶数である。n が偶数なら 3n1(mod4) なので 3n+1 は4で割ると2余り、an は奇数である。よって(2)も示された。

総評

難度は10段階中5、計算量は10段階中4。試験場での目安は18分で、行列計算に慣れていれば確実に取りたい問題である。採点点は、An の形が保たれることを帰納法で示し、偶奇だけを合同式で追うところにある。成分をすべて展開して大きな数を計算する必要はない。別解の an+bnanbn は計算量が少なく、偶奇だけでなく一般項まで見えるため、見通しのよい整理法として有効である。

冊子PDFで見る北大の行列の問題で問題集を作る

出典: 北海道大学 2008年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。