Evolton

北海道大学 2010年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第2問

実数を成分とする行列A=(abcd)A2A+E=O を満たすとする。ただし、E は単位行列、O は零行列である。

(1) A は逆行列をもつことを示せ。

(2) a+dadbc を求めよ。

(3) b>0 かつA1=(acbd)であるとき、A を求めよ。

難易度6/ 10計算量5/ 10目安22

行列 式変形、恒等式比較必要十分条件

方針

まず行列方程式を A(EA)=E と変形し,逆行列の存在と形を押さえる。次に成分計算または2次行列の恒等式から,対角成分の和 a+d と行列式 adbc を決める。最後は指定された逆行列の形と EA を比較し,b>0 で符号を確定する。

解答

(1)

与式を変形するとA(EA)=E,(EA)A=Eである。したがって EAA の逆行列であり、A1=EAとなる。

(2) A2=(a2+bcb(a+d)c(a+d)bc+d2)であるから、A2A+E=O の非対角成分よりb(a+d1)=0,c(a+d1)=0.もし b=c=0 なら、対角成分から a2a+1=0 が必要になるが、この2次方程式は実数解をもたない。よって b,c の少なくとも一方は0でなく、a+d=1である。

一方、左上成分からa2+bca+1=0,bc=a2+a1.d=1a を用いるとadbc=a(1a)(a2+a1)=1.したがってa+d=1,adbc=1.(3)

(1)よりA1=(1abc1d).これを問題のA1=(acbd)と比較するとa=d=12,c=b.さらに adbc=1 より14+b2=1.b>0 であるからb=32,c=32.よってA=(12323212).

総評

難度は10段階中6、計算量は10段階中5。試験場での目安は22分で、位置づけは標準的な完答対象である。主な採点点は、逆行列を直接構成し、成分比較で跡と adbc を決めること。注意点は、実数成分であるため a2a+1=0 が不可能になる点を使うこと。

補足。この問題の中心は,A2A+E=O を単なる成分計算ではなく逆行列の情報として読むことである。A1=EA が出ると,(3) の転置に似た条件は成分比較だけで大きく絞れる。最後に adbc=1 を忘れず使うことで,回転行列型の具体的な行列に到達する。

冊子PDFで見る北大の行列の問題で問題集を作る

出典: 北海道大学 2010年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。