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北海道大学 2011年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第2問

行列
A=(abcd)
について,以下の3つの条件を考える.

(i) a+d=adbc=0

(ii) A2=O

(iii) ある自然数nに対してAn=O

このとき,次の問いに答えよ.

(1) (i)ならば(ii)であることを示せ.

(2) (iii)ならばadbc=0であることを示せ.

(3) (iii)ならば(i)であることを示せ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安22

行列論証・証明 式変形、数学的帰納法必要十分条件

方針

(1)A2 を成分計算し、a+d=0adbc=0 を代入して零行列になることを示す。(2) は2次行列の行列式が積で掛け合わされることを使い、An=O なら (adbc)n=0 と見る。(3) は (2) で adbc=0 を得たうえで、直接計算から A2=(a+d)A を導く。これを帰納的に使い、An=O となるには A=O でない限り a+d=0 が必要であることを示す。

解答

(1)
直接計算するとA2=(abcd)2=(a2+bcb(a+d)c(a+d)d2+bc)である。

(i)より a+d=0,adbc=0 である。d=a であり、ad=bc だから a2=bc である。したがって a2+bc=0,d2+bc=a2+bc=0 であり、さらに b(a+d)=c(a+d)=0 である。よってすべての成分が0となり、A2=O である。

(2)
2次正方行列X=(αβγδ),Y=(αβγδ)について、成分を直接計算すると det(XY)=detXdetY が成り立つ。したがって det(An)=(detA)n である。

いま (iii) より、ある自然数 n に対して An=O である。零行列の行列式は0だから 0=det(An)=(detA)n=(adbc)n である。よって adbc=0 である。

(3)
(2)より adbc=0 である。この条件のもとで A2 をもう一度見ると、bc=ad だからA2=(a2+adb(a+d)c(a+d)d2+ad)=(a(a+d)b(a+d)c(a+d)d(a+d))=(a+d)Aである。

もし A=O なら、もちろん a+d=0 かつ adbc=0 であり、(i) が成り立つ。以下では AO とする。

A2=(a+d)A から、帰納的に Am=(a+d)m1A(m1) が成り立つ。実際、m で成り立つとすれば Am+1=AmA=(a+d)m1A2=(a+d)mA である。

(iii)より、ある自然数 nAn=O である。AO なので、上の式から (a+d)n1=0 となる。したがって a+d=0 である。これと (2) の adbc=0 を合わせると (i) が成り立つ。

総評

べき零行列を2次行列の成分計算だけで処理する証明問題である。目安時間は22分。A2 の成分を一度正確に計算しておくと、(1) でも (3) でも使える。(2) は行列式の積の性質を使うが、高校範囲の行列式計算として成分で確認できる。最後は A=O の場合を分けておくと、An=(a+d)n1A から a+d=0 を出す論理が明確になる。

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出典: 北海道大学 2011年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。