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北海道大学 2012年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第1問

kは実数,abcdadbc=1を満たす実数とする。行列
A=(abcd)
の表す移動は以下の3条件を満たすとする。

(イ) 直線y=x上の点は直線y=x上の点に移る。

(ロ) 直線y=x上の点は直線y=x上の点に移る。

(ハ) x軸上の点は直線y=kx上の点に移る。

(1) kのとりうる値の範囲を求めよ。

(2) Akで表せ。

難易度6/ 10計算量5/ 10目安22

行列図形と方程式 文字消去必要十分条件、式変形

方針

直線 y=xy=x がそれぞれ自分自身に移るので、方向ベクトル (1,1)(1,1) の像が同じ直線上に残る条件を係数で書く。そこから c=b,d=a を得て、x軸方向 (1,0) の像 (a,b)y=kx 上にあることから b=ka を導く。最後に adbc=1k の範囲と A の符号2通りを決める。

解答

(1)
行列 A によって点 (x,y)(x,y)(ax+by,cx+dy) へ移る。

条件(イ)より、直線 y=x 上の方向ベクトル (1,1) の像 (a+b,c+d) も直線 y=x 上にある。したがって a+b=c+d である。

条件(ロ)より、直線 y=x 上の方向ベクトル (1,1) の像 (ab,cd) も直線 y=x 上にある。したがって cd=(ab) である。2式 a+b=c+d,cd=a+b を加減すると c=b,d=a を得る。

条件(ハ)より、x軸上の方向ベクトル (1,0) の像 (a,c)=(a,b) は直線 y=kx 上にある。ここで a=0 なら、後で得る a2b2=1 に反して不可能である。よって b=ka である。

行列式条件 adbc=1 は、c=b,d=a より a2b2=1 となる。さらに b=ka を代入すると a2(1k2)=1 である。左辺が正でなければならないので 1k2>0 である。したがって 1<k<1 である。

(2)
(1)より a2(1k2)=1 であるから a=±11k2 である。また b=kac=bd=a なのでA=(akakaa)=a(1kk1)である。よってA=11k2(1kk1)またはA=11k2(1kk1)である。

別解

解法2(不変直線を固有方向として扱う)

方針

直線 y=xy=x の方向ベクトルを固有ベクトルとして扱う。2方向の倍率を α,β とすれば、行列式条件はαβ=1、x軸の像の傾き条件はk=(αβ)/(α+β) となる。ここから倍率を決め、標準基底へ戻す。

解答

(1) u=(11),v=(11)とおく。条件(イ)(ロ)より、ある実数 α,β が存在してAu=αu,Av=βvと書ける。行列式は基底を変えても同じなのでαβ=detA=1.一方、(10)=12u+12vであるから、x軸方向の像は12(α+βαβ).αβ=1 なので α+β=0 とはならない。条件(ハ)よりk=αβα+β.r=α/β とおけば、αβ=1 より r=α2>0 であり、k=r1r+1.したがって1<k<1.(2)
上式を r について解くとr=1+k1k.よって α,β は同符号で、α=±1+k1k,β=±1k1+kである。ただし2つの符号は同時に選ぶ。

基底 u,v から標準基底へ戻すとA=12(α+βαβαβα+β).したがってA=11k2(1kk1)またはA=11k2(1kk1)である。

総評

難度6、目安時間22分。不変な2直線を、方向ベクトルが同じ直線上へ移る条件として読み替える問題である。c=b,d=a まで出れば、あとはx軸の像と行列式条件でほぼ決まる。a の符号が正負2通り残る点、1<k<1 は行列式が正の実数として実現するための条件である点を落とさないようにしたい。 第2解法では2本の不変直線を固有方向と見ることで、行列の形と1<k<1 の由来を幾何的に確認できる。

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出典: 北海道大学 2012年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。