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北海道大学 2011年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第1問

0θ<πに対して,
行列(cosθsinθsinθcosθ)
で表される1次変換をfとし,点Pfによる像をf(P)で表す。

(1)Q(cosθ2,sinθ2)
に対して,f(Q)の座標を求めよ。

(2)R(sinθ2,cosθ2)
に対して,f(R)の座標を求めよ。

(3) fは直線y=(tanθ2)x
に関する対称移動であることを示せ。

難易度5/ 10計算量4/ 10目安18

行列図形と方程式 図形的解釈ベクトル成分計算対称性の利用

方針

u=θ/2 とおき、点Qを対称軸方向の単位ベクトル、点Rをそれに垂直な単位ベクトルとして見る。(1)(2) では加法定理を使って、Qは固定され、Rは符号反転することを計算で示す。(3) は任意の点をQ方向成分とR方向成分に分解できることから、Q方向は保ち、垂直方向だけ反転する変換、すなわち直線 y=(tan(θ/2))x に関する対称移動であると結論する。

解答

(1) u=θ2 とおく。すると Q=(cosu,sinu) である。行列で写すとf(Q)=(cosθcosu+sinθsinu,sinθcosucosθsinu)である。

加法定理より cosθcosu+sinθsinu=cos(θu)=cosu であり、sinθcosucosθsinu=sin(θu)=sinu である。したがって f(Q)=(cosu,sinu)=Q である。

(2)
同じく u=θ/2 とおくと R=(sinu,cosu) である。よってf(R)=(cosθsinusinθcosu,sinθsinu+cosθcosu)である。

第1成分は cosθsinusinθcosu=sin(θu)=sinu であり、第2成分は sinθsinu+cosθcosu=cos(θu)=cosu である。したがって f(R)=(sinu,cosu)=R である。

(3)
点Qは Q=(cosθ2,sinθ2) であるから、原点を通る直線 y=(tanθ2)x の方向を表している。また点Rは R=(sinθ2,cosθ2) であり、QR=cosusinu+sinu(cosu)=0 だから、Q方向に垂直な方向を表している。

(1) より f はQ方向の点を動かさず、(2)よりR方向の点を反対向きに移す。任意の点は、Q方向成分とR方向成分の和として一意に表せるので、f は直線 y=(tanθ2)x に平行な成分を保ち、それに垂直な成分だけ符号を変える。

したがって f は直線 y=(tanθ2)x に関する対称移動である。

別解

解法2(中点と垂直条件)

方針

(1) (2) は半角 u=θ/2 を用いて行列を直接作用させる。(3) は k=tanu とおき、任意の点 X と像 f(X) を結ぶ線分が直線 y=kx に垂直で、その中点がこの直線上にあることを示す。固定方向と垂直方向の基底分解を使わず、対称移動の幾何的な必要十分条件から確認する。

解答

(1)
u=θ/2 とおく。加法定理からf(Q)=(cosθcosu+sinθsinu,sinθcosucosθsinu)=(cos(θu),sin(θu))=(cosu,sinu)=Qである。

(2)
同様にf(R)=(cosθsinusinθcosu,sinθsinu+cosθcosu)=(sin(θu),cos(θu))=(sinu,cosu)=Rである。

(3)
k=tanu とおく。半角公式よりcosθ=1k21+k2,sinθ=2k1+k2.任意の点 X=(x,y) の像 X=f(X)X=11+k2((1k2)x+2ky,2kx(1k2)y)である。したがってXX=2(kxy)1+k2(k,1).直線 L:y=kx の方向ベクトルは (1,k) であり、
(k,1)(1,k)=0 だから、線分 XXL に垂直である。

また、線分 XX の中点を M とするとM=x+ky1+k2(1,k)であり、ML 上にある。よって、任意の X について
L は線分 Xf(X) の垂直二等分線である。したがって fy=(tanθ2)xに関する対称移動である。

総評

半角で表された2方向を、対称軸方向と垂直方向として読む行列の図形問題である。目安時間は18分。(1)(2) の計算は加法定理だけで済むが、符号を間違えると対称移動ではなく回転のように見えてしまう。(3) では、Qが固定されRが反転することに加えて、QとRが互いに垂直で任意の点をその2方向に分解できることを述べると、対称移動である理由が明確になる。 基底分解による証明に加え、任意の点と像の中点・垂直条件を確認すれば、「線形変換だから」という省略に頼らず対称移動を証明できる。

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出典: 北海道大学 2011年度 後期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。