方針
与式は An が逆行列を持つことを利用して An+1=E+2An−1 と変形する。(1) はここから An+1+E=2An−1(An+E) を作り、An+E の可逆性を帰納法で示す。逆行列の式では、An と An+E が可換であるため逆行列とも順序を入れ替えられることを明記する。(2) は An+1 と (1) の逆行列表示を Bn+1 に代入し、Bn+1=−21Bn という等比型の関係へ落とす。
解答
(1)
問題の関係式は An+1An=An+2E である。An は逆行列を持つので、右から An−1 をかけると An+1=E+2An−1 である。したがってAn+1+E=2E+2An−1=2(E+An−1)=2An−1(An+E)である。
仮定より A1+E は逆行列を持つ。いま An+E が逆行列を持つとすると、An−1 も逆行列を持つので、積 2An−1(An+E) も逆行列を持つ。よって上の式から An+1+E も逆行列を持つ。数学的帰納法により、すべての自然数 n について An+E は逆行列を持つ。
さらに An+1+E=2An−1(An+E) の両辺の逆行列をとると、積の逆行列の順序に注意して (An+1+E)−1=21(An+E)−1An である。ここで An と An+E は可換である。したがって An は (An+E)−1 とも可換であり (An+E)−1An=An(An+E)−1 である。よって (An+1+E)−1=21An(An+E)−1 が成り立つ。
(2) Bn=(2E−An)(An+E)−1 である。まず An+1=E+2An−1 より 2E−An+1=E−2An−1 である。また (1) より (An+1+E)−1=21An(An+E)−1 である。したがってBn+1=(2E−An+1)(An+1+E)−1=(E−2An−1)⋅21An(An+E)−1=21(An−2E)(An+E)−1=−21(2E−An)(An+E)−1=−21Bnである。
よって Bn+1=−21Bn が成り立つ。これを繰り返すと B2=−21B1,B3=(−21)2B1,… となるので、一般に Bn=(−21)n−1B1 である。
総評
難度7、計算量6。目安時間は24分。行列の逆行列と順序に慣れているかで差がつく問題である。(1) は An+1+E=2An−1(An+E) を作ることが核心で、可逆性は帰納法で説明する必要がある。逆行列を取るときは積の順序が逆になる点に注意する。一方、An と An+E は可換なので、最後の式で順序を入れ替えてよい理由も書いておくと答案の信頼性が高い。(2) は代入後に An−2E=−(2E−An) を見抜けば短い。
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出典: 北海道大学 2014年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。