方針
1回の試行で当たりを引く確率は n2 で、くじを戻すため各試行は独立に同じ確率で行われる。したがって(1)は二項分布で表せる。(2)では k を固定して、二項係数部分と (1−n2)n−k を分けて極限を取る。(3)は極限値 p(k) の隣り合う項の比 p(k+1)/p(k) を調べ、増加・同値・減少の切り替わりから最大となる k を決める。
解答
(1)
1回の試行で当たりくじを引く確率は n2 であり、はずれを引く確率は 1−n2 である。くじは毎回戻すので、各試行は同じ確率で独立に行われる。したがって、n 回中ちょうど k 回当たりを引く確率は、0≦k≦n のときpn(k)=nCk(n2)k(1−n2)n−kである。k<0 または k>n のときは、そのような回数は起こらないので pn(k)=0 である。
(2) k を固定して n→∞ とする。まずnCk(n2)k=k!n(n−1)⋯(n−k+1)⋅nk2kであるから nCk(n2)k→k!2k である。また(1−n2)n−k=(1−n2)n(1−n2)−kであり、問題文で与えられた極限より(1−n2)n→e−2,(1−n2)−k→1である。したがって n→∞limpn(k)=e−2k!2k である。
(3) p(k)=e−2k!2k である。隣り合う項の比をとるとp(k)p(k+1)=(k+1)!2k+1⋅2kk!=k+12である。
したがって k=0 から k=1 へは p(0)p(1)=2>1 なので増加する。k=1 から k=2 へは p(1)p(2)=1 なので等しい。k≧2 では p(k)p(k+1)<1 なので減少する。よって最大となる k は k=1,2 である。
別解
解法2(隣接差で最大値を判定する)
方針
(1) (2)は成功回数を直接数えて極限を取る。(3)では隣接比の代わりに p(k+1)−p(k) を計算し、その符号が k=1 を境に変わることを見る。
解答
(1)
当たりを引く回を k 回選び、それぞれの試行確率を掛けるとpn(k)=nCk(n2)k(1−n2)n−k(0≦k≦n).それ以外の k では pn(k)=0 である。
(2)
k を固定するとnCk(n2)k=k!2knkn(n−1)⋯(n−k+1)⟶k!2k,また(1−n2)n−k=(1−n2)n(1−n2)−k⟶e−2.したがってp(k)=n→∞limpn(k)=e−2k!2k.(3)p(k+1)−p(k)=e−2{(k+1)!2k+1−k!2k}=e−2(k+1)!2k(1−k).よって k=0 では増加、k=1 では同値、k≧2 では減少する。したがって最大となるのはk=1,2である。
総評
難度5、目安時間14分。くじを戻すため二項分布になることを最初に確認できれば、全体の流れは標準的である。極限では k を固定しているので、二項係数の上側 n(n−1)⋯ を nk で割る形に直すと見通しがよい。(3)は値を直接比較するより、隣接比 2/(k+1) で増減を判定するのが安全である。k=1 と k=2 が同じ最大値になる点を落としやすい。
冊子PDFで見る北大の確率の問題で問題集を作る
出典: 北海道大学 2019年度 後期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。