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熊本大学 2020年度 前期数学③ 第4問

xy 平面において、x,y がともに整数である点 (x,y) を格子点という。2以上の整数 n に対し、0<x<n,1<2y<(1+xn)nを満たす格子点 (x,y) の個数を P(n) とする。次の問いに答えよ。

(1) k=1n1{nlog2(1+kn)1}P(n)<k=1n1nlog2(1+kn)を示せ。

(2) 極限値 limnP(n)/n2 を求めよ。

(3) (2) の極限値を L とする。次の不等式を示せ。LP(n)n2>12n.

難易度8/ 10計算量7/ 10目安35

指数・対数積分整数 数え上げ極限計算定積分評価不等式評価

方針

整数 x=k ごとに許される正整数 y の個数を評価して(1)を得る。(2) は評価を n2 で割ってリーマン和へ移し、(3) は f(x)=log2(1+x) の狭義凹性による台形公式の向きを使う。

解答

(1)

x=k1kn1)と固定する。与えられた不等式は0<y<nlog2(1+kn)と同値である。正の実数 M に対し、0<y<M を満たす整数 y の個数を N(M) とすればM1N(M)<M.ここでMk=nlog2(1+kn)と置き、k=1,2,,n1 について足し合わせるとk=1n1(Mk1)P(n)<k=1n1Mk,すなわち所要の不等式を得る。

(2)

(1)n2 で割る。上下の評価の差はn1n20.また1n2k=1n1Mk=1nk=1n1log2(1+kn)f(x)=log2(1+x)[0,1] におけるリーマン和である。したがってL=01log2(1+x)dx=1log201log(1+x)dx=1log2[(1+x)log(1+x)(1+x)]01=21log2.ここで log は自然対数である。

(3) f(x)=1(1+x)2log2<0だから、f[0,1] で狭義凹である。したがって各小区間でグラフは両端を結ぶ弦より上にある。

小区間ごとの台形の面積を足すとL=01f(x)dx>1n{12f(0)+k=1n1f(kn)+12f(1)}=1nk=1n1f(kn)+12n,ただし f(0)=0,f(1)=1 を使った。一方、(1) の上側評価からP(n)n2<1nk=1n1f(kn).2式を合わせてLP(n)n2>12nを得る。

別解

解法2(天井関数で正確に数え、弦の積分を足す)

方針

各縦列の格子点数を Mk1 と正確に表し、そこから(1)を導く。(3) は凹関数の定義に基づく弦の不等式を各小区間で積分し、端点補正 1/(2n) を直接取り出す。

解答

(1)

Mk=nlog2(1+k/n) と置く。0<y<Mk を満たす正整数の個数はNk=Mk1である。任意の実数 Mk に対しMk1Mk1<Mkだから、P(n)=k=1n1Nk に代入して(1)を得る。

(2)

(1) の両端を n2 で割ると、誤差は高々 (n1)/n2 で0へ収束する。よってlimnP(n)n2=01log2(1+x)dx=21log2.(3)

f(x)=log2(1+x) は狭義凹である。a=k/n, b=(k+1)/n とし、0<λ<1 に対してf((1λ)a+λb)>(1λ)f(a)+λf(b).この不等式を x=(1λ)a+λb として小区間上で積分するとk/n(k+1)/nf(x)dx>12n{f(kn)+f(k+1n)}.k=0,1,,n1 について足せばL>1nk=1n1f(kn)+f(0)+f(1)2n=1nk=1n1f(kn)+12n.さらに(1)より P(n)/n2 はこの和より真に小さいので、所要のLP(n)n2>12nが従う。

総評

難度8、目安時間35分。(1) は各 x=k における正整数 y の個数を数える問題で、上端が整数のときはその値を含まないことが 1 の理由である。(2) では log2 と自然対数 log を区別する。(3) の核心は f が凹なので『積分値が台形和より大きい』ことと、端点 f(1)=1 がちょうど 1/(2n) の補正を生む点にある。積分・総和はすべて別行で組み、紙面上でも添字と分数が潰れないようにした。

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出典: 熊本大学 2020年度 前期 数学③(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。