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京都大学 1983年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

ab+cd=0, adbc0 を満たす実数 a,b,c,d のつくる行列A=(abcd)がある。ただし、a,c は負ではないとする。

(1) A=(vcosθvsinθvsinθvcosθ)(100u)と表されることを示せ。ただし、u,v,θ は実数で、v>0, 0θ<2π とする。

(2) O を原点とする座標平面上の1次変換(xy)=A(xy)について、長さ1のベクトルOP=(xy)からベクトルOP=(xy)への角度を γ (π<γπ) とする(したがって、半直線 OP を角度 γ だけ回転すれば半直線 OP となる)。(x,y)x0,y0,x2+y2=1の範囲を動いたとき、γ を最大にする OP を求めよ。ただし、0<u<1 とする。

難易度7/ 10計算量6/ 10目安24

行列ベクトル ベクトル成分計算回転・拡大、範囲評価

方針

2本の列ベクトルが直交することから、第一列の長さと方向角を使って行列を分解する。第1象限の単位ベクトルを偏角 ϕ で表し、縦成分を u 倍した後の偏角が ϕ 以下になることを使う。

解答

(1)
2本の列ベクトル(ac),(bd)は、条件 ab+cd=0 より互いに直交する。さらに adbc0 なので第一列は零ベクトルではない。そこでv=a2+c2>0,a=vcosθ,c=vsinθとおく。a,c0 だから 0θπ/2 と取れる。

第二列は第一列に垂直だから、ある実数 u によってb=uvsinθ,d=uvcosθと表せる。よってA=(vcosθvsinθvsinθvcosθ)(100u).(2)OP=(cosϕsinϕ),0ϕπ2とおく。右側の行列を先に作用させたベクトルは(cosϕusinϕ)である。その偏角を ϕ とすると、0<u<1 より0ϕϕ.等号 ϕ=ϕϕ=0 または ϕ=π/2 のときに限る。

左側の行列は、長さを v 倍して角度を θ だけ回転する。したがってγ=θ+ϕϕθ.ここで 0θπ/2 なので、角度を (π,π] へ取り直すことによる飛びはない。等号条件から、求めるベクトルはOP=(10)またはOP=(01)である。

0<u<1 では偏角は増えない

別解

解法2(成分から回転角を直接比較する)

方針

(1) では直交する第二列の倍率を成分で明示する。(2) では元のベクトルと縦成分を縮めたベクトルのなす有向角の正弦を成分計算し、その角度が0以下であることから最大を決める。

解答

(1) v=a2+c2 とする。adbc0 より v>0 である。さらにu=adbca2+c2とおく。ab+cd=0 を使うとb=uc,d=uaが確かめられる。a,c0 なのでcosθ=av,sinθ=cv,0θπ2とおけば、指定された積の形を得る。

(2) E=(cosϕsinϕ),W=(cosϕusinϕ)とおく。E から W への有向角を δ とすると、成分からsinδ=(u1)sinϕcosϕcos2ϕ+u2sin2ϕ0.両ベクトルは第1象限にあるのでπ2<δ0.また 0<u<1 だから、δ=0 となるのはsinϕcosϕ=0,すなわち ϕ=0,π/2 のときだけである。

行列 A の左側の因子は角度を θ だけ回転するからγ=θ+δθ.したがって最大にするベクトルは(10),(01)の2本である。

総評

原問題が明示する行列を、直交する列と回転・伸縮へ分解する問題。目安時間は24分。偏角の枝を曖昧にせず、a,c0 から 0θπ/2 を確定し、最大となる2方向の必要十分性を確認した。

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出典: 京都大学 1983年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。