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京都大学 1988年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

A=(2312)とする.

(1) (xy)=A(xy)で,
x23y2=1x>0y1ならば,x23y2=10y<yが成立することを示せ.

(2) xyx23y2=1をみたす自然数ならば,
ある自然数nをとると
(10)=An(xy)
となることを示せ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安30

整数行列 数学的帰納法不等式評価、計算整理

方針

行列の積を成分で x=2x3y, y=2yx と書く。(1) 保存される式は直接展開して確認し、x2=3y2+1 から 3y<x2y を導いて 0y<y を示す。(2) 反復のたびに第2成分が非負整数のまま真に減り、第1成分は正に保たれることを確認する。有限回で第2成分が0になり、保存式から第1成分が1になる。

解答

(1)

行列の積を成分で書くとx=2x3y,y=2yxである。直接計算してx23y2=(2x3y)23(2yx)2=x23y2=1を得る。

また x2=3y2+1x>0y1 だからx>3y>yである。一方x2=3y2+14y2より x2y である。したがって02yx<yすなわち 0y<y である。

(2)

x,y が自然数で x23y2=1 を満たすとする。y1 の間は (1) により、変換後も同じ方程式を満たし、第2成分は非負整数のまま真に小さくなる。

反復を続けるため、第1成分が正であることも確認する。x2(32y)2=34y2+1>0かつ x>0 だから x>3y/2 であり、x=2x3y>0である。

非負整数は無限に真に減少できないため、有限回の変換で第2成分は0になる。そのとき第1成分を X>0 とすれば、保存された等式からX2=1であるから X=1 である。よって、ある非負整数 n に対して(10)=An(xy)が成り立つ。出発時に y>0 とする自然数の約束では n1 である。

別解

解法2:√3を含む積で見る

方針

(x,y) を数 x+y3 で表す。23 を掛けると係数がちょうど x=2x3y, y=2yx になり、共役な積から x23y2 が保存される。(1) の大小評価で 3 の係数 y が非負整数のまま減ることを示し、反復の停止点を方程式から決める。

解答

(1) (x+y3)(23)=(2x3y)+(2yx)3である。したがって、右辺の有理数部分と 3 の係数がそれぞれ x,y である。

共役な式も掛け合わせるとx23y2={(x+y3)(23)}{(xy3)(2+3)}=(x23y2)(223)=1となる。

x2=3y2+1y1 から3y<x2yである。また x>3y>y でもある。よって02yx<yとなり、0y<y が示された。

(2)

x+y323 を1回掛ける操作が、問題の行列 A を1回作用させることに対応する。(1) により、y>0 の間は 3 の係数が非負整数のまま真に減少する。またx>32yより新しい有理数部分 2x3y は正である。

したがって有限回後に 3 の係数は0になる。そのとき得られた正の整数を X とすれば、保存式から X2=1、よって X=1 である。ゆえに、ある非負整数 n について(x+y3)(23)n=1となる。係数を比較すれば(10)=An(xy)である。

総評

難度7、計算量6で、目安は30分。問題が明示する行列は、解 (x,y) を同じ方程式上のより小さい解へ送る操作である。満点答案には、式 x23y2 の保存、第2成分の非負性と真の減少、第1成分の正値維持、非負整数の減少が有限回で止まること、停止点が (1,0) であることの5点が必要。単に「繰り返せば明らか」とせず、3y<x2yx>3y/2 を分けて使う。

冊子PDFで見る京大の整数の問題で問題集を作る

出典: 京都大学 1988年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。