方針
行列の積を成分で x′=2x−3y, y′=2y−x と書く。(1) 保存される式は直接展開して確認し、x2=3y2+1 から 3y<x≦2y を導いて 0≦y′<y を示す。(2) 反復のたびに第2成分が非負整数のまま真に減り、第1成分は正に保たれることを確認する。有限回で第2成分が0になり、保存式から第1成分が1になる。
解答
(1)
行列の積を成分で書くとx′=2x−3y,y′=2y−xである。直接計算してx′2−3y′2=(2x−3y)2−3(2y−x)2=x2−3y2=1を得る。
また x2=3y2+1、x>0、y≧1 だからx>3y>yである。一方x2=3y2+1≦4y2より x≦2y である。したがって0≦2y−x<yすなわち 0≦y′<y である。
(2)
x,y が自然数で x2−3y2=1 を満たすとする。y≧1 の間は (1) により、変換後も同じ方程式を満たし、第2成分は非負整数のまま真に小さくなる。
反復を続けるため、第1成分が正であることも確認する。x2−(23y)2=43y2+1>0かつ x>0 だから x>3y/2 であり、x′=2x−3y>0である。
非負整数は無限に真に減少できないため、有限回の変換で第2成分は0になる。そのとき第1成分を X>0 とすれば、保存された等式からX2=1であるから X=1 である。よって、ある非負整数 n に対して(10)=An(xy)が成り立つ。出発時に y>0 とする自然数の約束では n≧1 である。
別解
解法2:√3を含む積で見る
方針
組 (x,y) を数 x+y3 で表す。2−3 を掛けると係数がちょうど x′=2x−3y, y′=2y−x になり、共役な積から x2−3y2 が保存される。(1) の大小評価で 3 の係数 y が非負整数のまま減ることを示し、反復の停止点を方程式から決める。
解答
(1) (x+y3)(2−3)=(2x−3y)+(2y−x)3である。したがって、右辺の有理数部分と 3 の係数がそれぞれ x′,y′ である。
共役な式も掛け合わせるとx′2−3y′2={(x+y3)(2−3)}{(x−y3)(2+3)}=(x2−3y2)(22−3)=1となる。
x2=3y2+1 と y≧1 から3y<x≦2yである。また x>3y>y でもある。よって0≦2y−x<yとなり、0≦y′<y が示された。
(2)
x+y3 に 2−3 を1回掛ける操作が、問題の行列 A を1回作用させることに対応する。(1) により、y>0 の間は 3 の係数が非負整数のまま真に減少する。またx>23yより新しい有理数部分 2x−3y は正である。
したがって有限回後に 3 の係数は0になる。そのとき得られた正の整数を X とすれば、保存式から X2=1、よって X=1 である。ゆえに、ある非負整数 n について(x+y3)(2−3)n=1となる。係数を比較すれば(10)=An(xy)である。
総評
難度7、計算量6で、目安は30分。問題が明示する行列は、解 (x,y) を同じ方程式上のより小さい解へ送る操作である。満点答案には、式 x2−3y2 の保存、第2成分の非負性と真の減少、第1成分の正値維持、非負整数の減少が有限回で止まること、停止点が (1,0) であることの5点が必要。単に「繰り返せば明らか」とせず、3y<x≦2y と x>3y/2 を分けて使う。
冊子PDFで見る京大の整数の問題で問題集を作る
出典: 京都大学 1988年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。