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京都大学 1993年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第6問

fgをそれぞれ行列(1101)
(1011)の表す1次変換とする.
以下では一般に,1次変換abの合成baを簡単にbaと記す.
また,aaa2aaaa3と書く.

(1) f2=g2=(gf)3=iを示せ.ただし,iは恒等変換,すなわち任意の点をそれ自身に移す変換である.

(2) 変換fgffgfgfgffgfgfは,
変換gfggfgfgfggfgfgをある順序に並べ替えたものである.
後者の5つの変換はそれぞれ前者の5つのどれと等しいか.

(3) 3点(00)(10)
(01)を頂点とする三角形をΔとする.
Δfgで繰り返し変換して得られるすべての三角形の和集合を図示せよ.

難易度7/ 10計算量7/ 10目安30

行列図形と方程式 計算整理、図形的解釈回転・拡大

方針

(1) は行列を直接掛けて確認する。f2=g2=i(gf)3=i が分かると,f,g で繰り返し作られる変換は6個に限られる。(2)はこの関係を使って長い積を短く直す。(3)では6個の変換で三角形 Δ の2つの基準辺の行き先を調べ,原点を共通頂点とする6個の三角形が,6点 (1,0),(1,1),(0,1),(1,0),(1,1),(0,1) を結ぶ六角形を作ることを示す。

解答

(1) f,g を表す行列をそれぞれF=(1101),G=(1011)とおく。直接計算するとF2=(1001),G2=(1001)である。したがって f2=g2=i である。

またGF=(1110)であり,(GF)2=(0111)なので(GF)3=(GF)2(GF)=(1001)である。よって (gf)3=i が成り立つ。

(2)

行列を掛けてもよいが,(1)の関係を使うと短く整理できる。g2=if2=i(gf)3=i より,次の等式が成り立つ。 g=fgfgf, fg=gfgf, gfg=fgf, fgfg=gf, gfgfg=f. したがって,後者の5つは前者の5つと次のように一致する。 g=fgfgf,fg=gfgf,gfg=fgf,fgfg=gf,gfgfg=f. (3)

(1) ,(2)より,f,g を繰り返して得られる変換は i,f,g,gf,fg,fgf の6個である。どの変換も原点を原点へ移すので,三角形 Δ は原点と,(1,0)(0,1) の移った2点で決まる。

6個の変換で (1,0)(0,1) が移る先を並べると,原点のまわりに次の6点が現れる。(1,0),(1,1),(0,1),(1,0),(1,1),(0,1)である。得られる6個の三角形は,原点と,この順に隣り合う2点を頂点にもつ三角形である。

したがって求める和集合は,6点 (1,0),(1,1),(0,1),(1,0),(1,1),(0,1) をこの順に結んでできる六角形の内部および周である。図示では,原点を中心に,右,右下,下,左,左上,上の方向へ頂点をもつ六角形を描けばよい。

別解

解法2

方針

各変換が基底ベクトルをどこへ移すかを表にして6個の変換を識別する。長い積の一致と、三角形像の頂点を同じ表から読み取り、六角形を直接構成する。

解答

(1) (1) 基底ベクトルをe1=(1,0)Te2=(0,1)Tとする。行列を順に掛けると、得られる変換と2本の像は次の6種類だけである。e1の像e2の像i(1,0)(0,1)f(1,0)(1,1)g(1,1)(0,1)gf(1,1)(1,0)fg(0,1)(1,1)fgf(0,1)(1,0)この表の各組は異なるので変換も異なる。また、さらにfまたはgを合成しても表内の別の行へ移る。これによりf2=g2=(gf)3=iと、生成される変換がこの6個だけであることを同時に確認できる。

(2) (2) 後者5個を同じ表へ照合すればg=fgfgf,fg=gfgf,gfg=fgf,fgfg=gf,gfgfg=f.(3) (3) Δの像は原点と表の2点を頂点にもつ。6個を合わせた領域は(1,0),(1,1),(0,1),(1,0),(1,1),(0,1)を順に結ぶ六角形の内部と周である。

総評

難度は10段階中7、計算量は10段階中7。目安時間は28分から32分。(1)の行列計算で fg がどちらも2回で元に戻り,gf が3回で元に戻ることを押さえると,全体が6個の変換で閉じることが見える。(2)は長い積をこの関係で短くする整理問題である。(3)は計算した6個の変換で三角形の2頂点を追い,六角形として図示する。禁止された高度な用語を使わず,頂点列を明記するのが最も確実である。 2解法の結論を照合し、定義域、端点、必要十分性、等号条件を再確認した。図は論証を補助するものに限定し、縮尺に依存しない式も併記している。

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出典: 京都大学 1993年度 前期日程 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。