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京都大学 1994年度 後期日程 第2次学力試験文系(後期)数学 第2問

abcdを整数とし,行列A=(abcd)を考え,
自然数nに対してAn=(anbncndn)とする。このとき,

(1) cn+2(a+d)cn+1+(adbc)cn=0を示せ。

(2) pを素数とし,adbcpで割り切れないものとする。
ある自然数kについて,ckck+1pで割り切れるならば,
すべてのnについてcnpで割り切れることを示せ。

難易度6/ 10計算量5/ 10目安15

数と式数列整数論証・証明 漸化式の変形、合同式、場合分け

方針

行列の直接計算から A2(a+d)A+(adbc)I=O を示し、左下成分を取る。(2)は得られた漸化式を法 p で考える。行列式が0でないため逆向きにも漸化式を解けることを明記する。

解答

(1) 単位行列を I とする。直接計算によりA2(a+d)A+(adbc)I=Oが成り立つ。両辺に An を掛けるとAn+2(a+d)An+1+(adbc)An=Oである。左下成分を比較してcn+2(a+d)cn+1+(adbc)cn=0を得る。

(2) D=adbc とおく。仮定より Dp で割り切れない。ck,ck+1 がともに p で割り切れるとする。(1)の漸化式から、cn,cn+1 がともに p で割り切れれば cn+2 もそうである。よって nk のすべての cnp で割り切れる。

一方、漸化式をDcn=(a+d)cn+1cn+2と書く。右辺が p で割り切れれば Dcn も割り切れるが、Dp で割り切れないから、素数 p の性質により cnp で割り切れる。これを n=k1,k2, と順に用いれば、n<k についてもすべて成り立つ。以上より、すべての自然数 n について cnp で割り切れる。

別解

解法2

方針

(1) は特性多項式を直接確認する。(2)は法 p の行列として考え、行列式が0でないことから A を可逆にし、上三角行列の積と逆行列を使う。

解答

(1)
直接計算するとA2(a+d)A+(adbc)E=O.両辺に An を掛け、左下成分をとればcn+2(a+d)cn+1+(adbc)cn=0.(2)
以下、成分を法 p で考える。p(adbc) だから A は可逆であり、
すべての An も可逆である。ckck+10(modp) より、Ak,Ak+1 はともに
上三角行列である。可逆な上三角行列の逆行列も上三角行列だからA=Ak+1(Ak)1も上三角行列である。したがってすべての整数 n1 について
An は上三角行列となり、その左下成分はcn0(modp).n=0 を自然数に含める場合も、A0=E なので c0=0 である。

総評

行列恒等式と整数の漸化式を結ぶ問題で、目安は15分。前向きの帰納だけでは n<k が残るため、行列式が法 p で0でないことを使った逆向きの議論が最大の採点点となる。

漸化式の前後伝播に加え、法 p での可逆上三角行列として再証明した。行列式が単元である仮定を明示する。

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出典: 京都大学 1994年度 後期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。