Evolton

京都大学 1997年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第4問

2次関数y=(ax+b)2 (0x1)の最大値をM(a,b)とする.
このとき,次の不等式(*)が任意の実数abに対して成り立つような実数mの中で最小のものを求めよ.

(*) M(a,b)m01(ax+b)2dx

難易度7/ 10計算量5/ 10目安20

積分方程式・不等式 範囲評価、置換不等式評価

方針

一次式ax+bを係数a,bで直接扱うより、区間の両端の値u=b, v=a+bに置き換える。最大値はmax(u2,v2)、積分は(u2+uv+v2)/3となるので、求める定数はその比の最大値である。v2u2ならt=u/vとして1t1上で分母t2+t+1を最小にすればよい。最後に等号を与える端点値を示し、m=4より小さくできないことも確認する。

解答

u=b,v=a+b とおく。するとax+bは、x=0ux=1vをとる一次式である。逆に、任意の実数u,vに対してb=u, a=vuとすればよいので、u,vで考えても一般性を失わない。

一次式の絶対値の最大は端点で起こるから M(a,b)=max(u2,v2) である。また ax+b=(1x)u+xv より01(ax+b)2dx=01{(1x)u+xv}2dx=u201(1x)2dx+2uv01x(1x)dx+v201x2dx=u2+uv+v23. (u,v)=(0,0)のときは両辺とも0なので問題ない。以下、(u,v)(0,0)とする。 v2u2の場合を考える。v0であり、t=u/vとおくと 1t1 である。このときM(a,b)01(ax+b)2dx=v2(u2+uv+v2)/3=3t2+t+1である。1t1において t2+t+1=(t+12)2+34 だから、最小値は3/4である。よってこの場合の比の最大値は 33/4=4 である。 u2v2の場合も、uvを入れ替えれば同じ議論により比の最大値は4である。したがって、すべてのa,bについて M(a,b)401(ax+b)2dx が成り立つ。

一方、例えばv=1, u=1/2とすると、v2u2かつt=1/2であり、上の比はちょうど4になる。したがってmを4より小さくすることはできない。求める最小値は m=4 である。

別解

解法2

方針

一次式の端点値を u=b, v=a+b と置く。積分値を端点値で表した後、最大値が v2 の場合と u2 の場合に分け、4倍した積分との差を完全平方へ直す。等号を実現する端点値も同時に読み取り、最良定数であることを一度に示す。

解答

端点値をu=b,v=a+bと置く。このときM(a,b)=max(u2,v2)であり、01(ax+b)2dx=u2+uv+v23.(1)まず M(a,b)=v2 の場合、401(ax+b)2dxM(a,b)=4u2+4uv+v23=(2u+v)230.M(a,b)=u2 の場合も401(ax+b)2dxM(a,b)=u2+4uv+4v23=(u+2v)230.従ってすべての a,b に対してM(a,b)401(ax+b)2dxが成り立つ。

一方、v=1,u=12と取れば M=1 で、(1)の積分値は 1/4 となる。従って比はちょうど4であり、4より小さい定数では不等式が成り立たない。よって最小の mm=4.

総評

最良定数を求める積分不等式で、発想はやや難しいが計算は整理できる。目安時間は20分前後。a,bのまま微分するより、一次式の端点値u,vに変えるのが本問の核心である。答案では「m=4で成り立つ」だけでなく、「比が4になる例があるのでそれ未満は不可」まで書いて最小性を保証する必要がある。平方完成の第2解法は、十分性と等号条件を短く確認できるので見直しにも有効である。

冊子PDFで見る京大の積分の問題で問題集を作る

出典: 京都大学 1997年度 前期 文系 第4問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。