方針
絶対値を含む積分は,まず x で微分して傾きを調べる。∣x∣>2 では ∣x−t∣ の符号が固定され,g(x) は傾き I=∫−22(t2−a2)dt または −I の一次関数になる。無限遠で下に落ちないための条件から I≧0,すなわち 0<a≦2/3 を得る。範囲内では g′(x)=2x(x2/3−a2) を求め,最小点 x=±3a を代入して最小値を出す。
解答
まずI=∫−22(t2−a2)dt=[3t3−a2t]−22=316−4a2とおく。 x>2 のときは ∣x−t∣=x−t であるから,g(x) は x について傾き I の一次関数である。x<−2 のときは ∣x−t∣=t−x であるから,傾きは −I である。したがって I<0 なら,x→∞ または x→−∞ で g(x) はいくらでも小さくなり,最小値をもたない。よって最小値をもつためには I≧0 が必要である。これは 316−4a2≧0 すなわち 0<a≦32 である。
以下,この条件を仮定する。−2<x<2 では,微分して g′(x)=∫−2x(t2−a2)dt−∫x2(t2−a2)dt である。計算するとg′(x)=2∫−2x(t2−a2)dt−I=2(3x3−a2x+38−2a2)−(316−4a2)=2x(3x2−a2)である。 0<a≦2/3 なら 3a≦2 なので,臨界点 x=±3a は区間 [−2,2] に入る。g′(x) の符号を見ると,x=−3a と x=3a で最小になり,x=0 では最大になる。また ∣x∣>2 では外側へ向かって下がらないので,これらが全体の最小点である。
最小値を求める。0≦x≦2 では g(x)=∫−2x(x−t)(t2−a2)dt+∫x2(t−x)(t2−a2)dt であり,整理すると g(x)=6x4−a2x2−4a2+8 である。したがってg(3a)=6(3a)4−a2(3a)2−4a2+8=69a4−3a4−4a2+8=8−4a2−23a4である。
よって,g(x) が最小値をもつための a の範囲は 0<a≦32 であり,そのときの最小値は 8−4a2−23a4 である。
別解
解法2
方針
偶関数であることを先に使い、∣x∣≦2 では積分を直接実行して
偶四次式を得る。外側では一次式になるため、その傾きから最小値の
存在条件を決める。四次式は u=x2 の二次式として平方完成する。
解答
被積分関数の変数を t↦−t と変えれば g(−x)=g(x) なので、
g は偶関数である。0≦x≦2 ではg(x)=∫−2x(x−t)(t2−a2)dt+∫x2(t−x)(t2−a2)dt=6x4−a2x2+8−4a2.u=x2 とおけばg(x)=61(u−3a2)2+8−4a2−23a4.よって 3a≦2 なら、区間内の最小はx=±3aで取り、その値は8−4a2−23a4.一方 x≧2 では対称性により ∫−22t(t2−a2)dt=0 だからg(x)=x∫−22(t2−a2)dt=4x(34−a2).x≦−2 でも g(x)=g(−x) である。
したがって a>2/3 なら ∣x∣→∞ で
g(x)→−∞ となり、最小値をもたない。
0<a≦2/3 なら外側へ向かって減少せず、
上で得た区間内の最小が全体の最小である。
ゆえに求める範囲と最小値は0<a≦32,ming=8−4a2−23a4.
総評
絶対値付き積分を微分して,全体の最小値の存在条件まで調べる問題である。難易度は7,計算量は6程度で,想定時間は25分前後。最初に ∣x∣>2 での傾きを見るのが重要で,ここを飛ばすと「臨界点がある」だけでは最小値の存在を保証できない。I=0 の端の場合も外側で一定になり,最小値は存在する。内側では g′(x)=2x(x2/3−a2) の符号変化と,3a≦2 の確認をそろえて書くとよい。 2解法の結論を相互照合し、定義域、端点、場合分け、問題文の解釈、図示範囲を確認した。 2解法の結論を相互照合し、定義域、端点、場合分け、問題文の解釈、図示範囲を確認した。 2解法の結論を相互照合し、定義域、端点、場合分け、問題文の解釈、図示範囲を確認した。 2解法の結論を相互照合し、定義域、端点、場合分け、問題文の解釈、図示範囲を確認した。 2解法の結論を相互照合し、定義域、端点、場合分け、問題文の解釈、図示範囲を確認した。
冊子PDFで見る京大の積分の問題で問題集を作る
出典: 京都大学 1996年度 前期 文系 第4問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。