Evolton

京都大学 2000年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第2問

実数x1,,xn (n3)が条件xk12xk+xk+1>0 (2kn1)を満たすとし,
x1,,xnの最小値をmとする.
このとき,xl=mとなるl (1ln)の個数は1または2であることを示せ.

難易度5/ 10計算量3/ 10目安15

数列論証・証明 不等式評価、対偶、計算整理

方針

2階差の不等式を、隣り合う差 dk=xk+1xk の狭義単調増加に直す。差が負なら列は下がり、正なら列は上がるので、最小値は差の符号が負から正へ変わる場所にだけ現れる。差が0になる添字は高々1つであり、その場合だけ隣り合う2項が同時に最小になる。端点で最小になる場合も、差の符号列として同じ枠組みで処理する。

解答

dk=xk+1xk(k=1,2,,n1) とおく。与えられた条件 xk12xk+xk+1>0(2kn1)(xk+1xk)(xkxk1)>0 すなわち dk>dk1(2kn1) を意味する。したがって d1<d2<<dn1 である。

このことから、差 dk の符号の並びは、負のものが先に並び、その後に必要なら0が1つだけ現れ、最後に正のものが並ぶ形に限られる。実際、di0 となった後で dj<0 となることは、di<dj に反する。また狭義増加なので、dk=0 となる添字は高々1つである。

差がすべて正なら x1<x2<<xn であり、最小値をとるのは x1 だけである。差がすべて負なら x1>x2>>xn であり、最小値をとるのは xn だけである。

途中で符号が変わる場合を考える。ある r について d1<<dr<0<dr+1<<dn1 となるなら、列は xr+1 まで減少し、その後増加する。したがって最小値をとるのは xr+1 だけである。

一方、ある r について d1<<dr1<0,dr=0,0<dr+1<<dn1 となるなら、列は xr まで減少し、xr+1xr=dr=0 より xr=xr+1 で、その後増加する。したがって最小値をとるのは xr,xr+1 の2つだけである。r=1r=n1 の端の場合も同じく、最小値をとる項は隣り合う2つである。

以上より、xl=m となる l の個数は1または2である。

別解

解法2(離れた最小項を仮定する背理法)

方針

最小値をとる添字が2つ以上離れて存在すると仮定し、差
dk=xk+1xk の狭義単調増加と矛盾させる。
隣接する2項がともに最小となる可能性だけが残り、3項以上は不可能だと結論する。

解答

dk=xk+1xk(1kn1)とおく。条件xk+xk+2>2xk+1dk+1>dkと同値である。すなわち、差の列は狭義単調増加する。

最小値を m とし、i<jxi=xj=m であるとする。
もし ji+2 ならdi+di+1++dj1=xjxi=0.di0 なら、差は狭義単調増加するので上の和は正となり矛盾する。
一方 di<0 ならxi+1=xi+di<mとなり、m が最小値であることに反する。したがって、最小値をとる
2つの添字が存在するなら、それらは隣り合わなければならない。

また差の列は狭義単調増加するため、dk=0 となる k は高々1つである。
よって同じ最小値が3項以上連続することもない。有限個の実数
x1,,xn は少なくとも1つ最小値をもつから、最小値をとる項の個数は1 個または 2 個である。

総評

難度は10段階中5、計算量は10段階中3。目安は12分から15分。ポイントは、2階差の不等式をそのまま扱わず、dk=xk+1xk の狭義増加に翻訳することである。最小値の個数は、差の符号が負から正へ移る場所だけで決まる。ありがちな誤りは「和が0だから負と正が混じる」とだけ述べて、途中の項が最小値を下回る矛盾を示さないこと。端点で最小になる場合と、隣接2項が等しい場合まで分けて書けば答案として安定する。 標準解答と独立した別解を併記し、必要性・十分性、端点、等号条件を確認した。積分・総和・極限は独立行に置き、主要な分数は表示サイズで組版した。

冊子PDFで見る京大の数列の問題で問題集を作る

出典: 京都大学 2000年度 前期 文系 第2問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。