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京都大学 2003年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第5問

abcdを実数とする.
2次の正方行列A=(abcd)と2次の単位行列Eに対して,
集合L(A)L(A)={rE+sAr,sは実数}とする.
このとき次の条件(*)が成立するための,
abcdについての必要十分条件を求めよ.

(*) L(A)の要素Bは零行列でなければ逆行列をもつ

難易度7/ 10計算量5/ 10目安25

行列方程式・不等式 判別式必要十分条件、計算整理

方針

最初に A が単位行列の実数倍かどうかを分ける。実数倍なら L(A) は非零スカラー行列だけなので条件を満たす。それ以外では E,A が一次独立であり、det(rE+sA)rs の2次式として判別式を調べる。

解答

まず A が単位行列の実数倍である場合を分ける。a=d,b=c=0なら A=aE であり、L(A)={(r+as)Er,s は実数}である。したがって零行列でない要素はすべて逆行列をもち、条件(*)は成立する。

以下 AE の実数倍でないとする。このとき E,A は実数上で一次独立だから、rE+sA=O(r,s)=(0,0)である。

B=rE+sA とおくとB=(r+sasbscr+sd)であり、detB=r2+(a+d)rs+(adbc)s2.s=0, r0 なら detB=r2>0 である。s0 のとき t=rs とおけばdetBs2=t2+(a+d)t+(adbc).この2次式がすべての実数 t に対して0でないための必要十分条件は、判別式が負であることである。その判別式は(a+d)24(adbc)=(ad)2+4bc.判別式が0以上なら実数解 t があり、(r,s)=(t,1) により、一次独立性から零行列でない特異行列が得られる。

以上より必要十分条件は{a=d, b=c=0,または(ad)2+4bc<0である。

別解

解法2(跡を除いた行列で見る)

方針

A から跡の半分だけ単位行列を引く。残りが零行列ならスカラー行列の場合として先に確定し、そうでなければ残った行列の2乗が単位行列の定数倍になることから特異行列の有無を読む。

解答

まず次の行列を置く。C=Aa+d2E=(ad2bcad2).もし C=O ならa=d,b=c=0であり、A=aE である。このときL(A)={tEt は実数}だから、零行列でない要素はすべて逆行列をもつ。

以下 CO とする。直接計算するとC2={(ad)24+bc}E=Δ4E,Δ=(ad)2+4bc.任意の rE+sA は、実数 u を用いてrE+sA=uE+sCと書ける。ここで(uE+sC)(uEsC)=(u2Δ4s2)E.Δ<0 なら、(u,s)(0,0) に対してu2Δ4s2>0だから uE+sC は逆行列をもつ。

逆に Δ0 ならu=Δ2sとなる組を選べる。Δ=0 のときも u=0,s=1 とすればよく、CO だから得られる行列は零行列ではない。このとき行列式が0となるので条件(*)に反する。

したがって必要十分条件は{a=d, b=c=0,または(ad)2+4bc<0である。

総評

難度7、計算量5。目安時間は15〜20分。最重要点は、A が単位行列の実数倍なら E,A が一次独立でないため、0でない係数の組が零行列を表す場合があることです。この場合は L(A)={tE} となり条件(*)を満たします。スカラー行列でない場合に限って、行列式の2次形式が非零係数の組で消えない条件を判別式で調べます。判別式が0のときも、非零の特異行列が生じるので除外します。

第1解法は標準的な答案構成を詳しく示し、第2解法は異なる着眼または計算経路で同じ結論を再確認する。図は式変形の役割と条件の使いどころを可視化した。積分・極限・総和は独立行に置き、分数は表示サイズで組版した。

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出典: 京都大学 2003年度 前期 理系 第5問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。