方針
最初に が単位行列の実数倍かどうかを分ける。実数倍なら は非零スカラー行列だけなので条件を満たす。それ以外では が一次独立であり、 を の2次式として判別式を調べる。
解答
まず が単位行列の実数倍である場合を分ける。なら であり、である。したがって零行列でない要素はすべて逆行列をもち、条件(*)は成立する。
以下 は の実数倍でないとする。このとき は実数上で一次独立だから、である。
とおくとであり、, なら である。 のとき とおけばこの2次式がすべての実数 に対して0でないための必要十分条件は、判別式が負であることである。その判別式は判別式が0以上なら実数解 があり、 により、一次独立性から零行列でない特異行列が得られる。
以上より必要十分条件はである。
別解
解法2(跡を除いた行列で見る)
方針
から跡の半分だけ単位行列を引く。残りが零行列ならスカラー行列の場合として先に確定し、そうでなければ残った行列の2乗が単位行列の定数倍になることから特異行列の有無を読む。
解答
まず次の行列を置く。もし ならであり、 である。このときだから、零行列でない要素はすべて逆行列をもつ。
以下 とする。直接計算すると任意の は、実数 を用いてと書ける。ここで なら、 に対してだから は逆行列をもつ。
逆に ならとなる組を選べる。 のときも とすればよく、 だから得られる行列は零行列ではない。このとき行列式が0となるので条件(*)に反する。
したがって必要十分条件はである。
総評
難度7、計算量5。目安時間は15〜20分。最重要点は、 が単位行列の実数倍なら が一次独立でないため、0でない係数の組が零行列を表す場合があることです。この場合は となり条件(*)を満たします。スカラー行列でない場合に限って、行列式の2次形式が非零係数の組で消えない条件を判別式で調べます。判別式が0のときも、非零の特異行列が生じるので除外します。
第1解法は標準的な答案構成を詳しく示し、第2解法は異なる着眼または計算経路で同じ結論を再確認する。図は式変形の役割と条件の使いどころを可視化した。積分・極限・総和は独立行に置き、分数は表示サイズで組版した。