方針
左辺の積を Pn、右辺を Rn とおき、示すべき不等式を Pn−Rn>0 にする。n から n+1 へ移るときの差を計算すると、既知の Pn−Rn と、an+1(2−n−Pn) に分かれる。各 aj>1/2 から 1−aj<1/2、したがって Pn<2−n が得られるので、帰納法で正であることを示す。
解答
Pn=(1−a1)(1−a2)⋯(1−an) とおき、Rn=1−(a1+2a2+⋯+2n−1an) とおく。示すべき不等式は Pn>Rn である。
まず n=2 のときを確認する。このときP2−R2=(1−a1)(1−a2)−(1−a1−2a2)=1−a1−a2+a1a2−1+a1+2a2=a1a2−2a2=a2(a1−21)>0である。ここで a2>0 かつ a1>1/2 を用いた。
次に、ある n≧2 で Pn>Rn が成り立つと仮定する。各 aj は 1/2<aj<1 を満たすので 0<1−aj<21 である。したがって 0<Pn=(1−a1)⋯(1−an)<(21)n=2n1 である。
n+1 の場合を考えると、Pn+1=Pn(1−an+1) であり、また Rn+1=Rn−2nan+1 である。よってPn+1−Rn+1=Pn(1−an+1)−(Rn−2nan+1)=Pn−Rn−an+1Pn+2nan+1=(Pn−Rn)+an+1(2n1−Pn).帰納法の仮定より Pn−Rn>0 であり、上で示したように Pn<1/2n であるから an+1(2n1−Pn)>0 である。したがって Pn+1−Rn+1>0 となる。
以上より、数学的帰納法によってすべての整数 n≧2 について(1−a1)(1−a2)⋯(1−an)>1−(a1+2a2+⋯+2n−1an)が成立する。
総評
不等式そのものは複雑に見えるが、積の部分と右辺全体を記号化すると帰納法の形がはっきりする。重要なのは、Pn−Rn だけでなく Pn<2−n も同時に使う点である。この補助評価を出さずに展開だけで進めると、n+1 の差の正負が見えにくい。Rn は負になる場合もあるが、証明では Pn−Rn の正性だけを追えばよい。目安時間は20分程度。
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出典: 京都大学 2011年度 前期日程 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。